「代替エネルギーを確保しつつ、10年以上かけて、少しずつ廃止していくべきだろう」という意見について
ASIOS著『検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか』(文芸社、2011年11月)で、と学会会長である山本弘氏は次のようにいっています。
誤解されないように言っておくと、僕は以前から原発反対派なんですよ。・・・ただ、今すぐすべて廃止してしまうのは無理がある。電力が足りなくなることで、かえって多くの人が危険にさらされるかもしれない。代替エネルギーを確保しつつ、10年以上かけて、少しずつ廃止していくべきだろうと思うんです。
ただ、原発が嫌いであっても、「微量の放射線でも危険だ」という極論には与したくない。嘘で不安を煽るのは明らかに間違っているし、被災者の差別にもつながるから。(p239)
つまり、これは、
原発はマズいんだけど、すぐ無くすのもなんだからと見ていたら、福島第一の事故が起きちゃった。でも、今後、10年以上は、なんとなく事故はおきないだろう思うんです。だから、今後は、10年以上かけて原発がなくなっていくのを見ていようと思うんです。
という意味だと思います。「電力が足りなくなる」といっているのは電力会社や政府や産業界。その政府も「電力が足りなくなる」ことはないことはわかっていた(※)。山本氏の「10年以上かけて」の主張の根拠は、電力会社や原子力産業の宣伝情報をもとにしているとしかいいようがない。
※ 「電力需給:政府今夏試算「6%余裕」伏せる」(毎日新聞 2012年1月23日)
きちんとした論理とか判断基準があるとは到底いえない発言だと思います。彼が、トンデモ論一般として広い範囲の話題について行なっている批判の基準とか動機は一体何なのでしょうか?
(2012/06/17)