「オールジャパン」
民主党の野田首相の演説のなかで気になった言葉に「全員野球」という言葉がありました。わたしは、野球はよく知らないし、好きでもありません。だから、彼の言っている「全員野球」の意味がいまひとつ理解できませんでした。日本人全体の中で、そうなのは、私一人ではなくて結構いるんじゃありませんか。
ともかく、野田氏は「全員野球」という言葉を良く使っていた印象があります。彼は、野球に関係する「たとえ」は誰にでもわかりやすいと思っていたのでしょう。シーズンになれば、ラジオ、テレビは相当の時間を野球中継、野球についての報道に割いています。だから、日本国民なら誰でも野球についての基礎知識があるものと思い込んでいたのでしょう。
「オールジャパン」という言葉は、野田氏も使ったかもしれませんが、最近、安倍首相が使うのが気になります。
麻生財務大臣がヒットラーのやり方について失言をしました。ヒットラーは健康が好きでスポーツも好きでした。健康で身体の立派な青年が好きだったのかも知れません。強い兵隊になるはずですから。「健全な身体に健全な精神がやどる」。ヒットラーはオリンピックも行ないました。健全な身体と優れた運動能力、そして、統制のとれた団体行動は、競技スポーツと軍隊の共通点だと思います。
「全員野球」はもちろん、「オールジャパン」も、もともとはスポーツ関連の言葉です。マスコミが大いに使ったので、国民の耳はもう慣れています。2013年9月現在、安倍氏が使っている「オールジャパン」には「国民全員がこの目標に向かって頑張っているのだから文句はいうな」という意味が含まれているようです(※)。全体主義のスローガンになりつつあるのではないでしょうか。
※ 9月8日夜に配信された共同通信の記事は、福島の識者や漁業関係者が、安倍氏のIOCでの発言の福島原発の汚染水の「状況はコントロールされている」という発言に対して、批判や疑問の声があがっていると伝えています。多量の五輪関連のニュースの中でほんの数行の記事です。
オリンピック東京開催決定に狂喜する日本人をみて、中国や韓国では警戒心をさらに高める人々が出てくるかもしれません。
- 人民網日本語版: 9月10日 - 日本は非現実的な幻想を抱いてはならない
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(2013/09/14)