ウソも100回いえば・・・

「嘘も100回言えば本当になる」というのはナチス・ドイツの宣伝相だったヨーゼフ・ゲッベルスの言葉だといわれているのですが・・・

ブログ、『techpr.jp: できない、困って→問題解決』 によればゲッベルスは「100回言えば」ではなく「頻繁に繰り返せば」といっているそうです。

このブログの筆者は「原典」として紹介しているのですが、「原文」にはゲッベルスの言葉とされる部分の前にちょっとした説明がついています。ドイツ語を機械的に英語に訳したものを日本語になおすと:

1938年にヨーゼフ・ゲッベルスが言ったことを知るべきであるのだが、その引用はいつも短かすぎる。ここに、もとの文章を手を加えずに紹介する。

普通このような説明を加えた場合は、引用した元の著作名などを明示するものです。しかし、それはないようです。同様の引用がネット上でいくつもあるのですが google の検索結果ページを2〜3ページみたなかでは、そういう意味での出典を見つけることはできませんでした。しかし、少なくともこういった文章がドイツ語圏でもゲッベルスの嘘に関する言葉として頻繁に引用されていることは間違いないようです。

で、このブログの筆者は「100回」という部分は「嘘と言うべきだ」と指摘します。しかし、日本語の「百」という言葉は「数の多いこと」を、「回」は回数であり繰り返しを意味するわけですから、「何回も繰り返す」という意味でも間違いではない。「名言」なのですからある程度印象の強い表現は許されるはずです。同じ意味内容のことわざが英語にも日本語にもある例ですが、"there's no use crying over spilt milk" を「覆水盆に帰らず」と訳すのは嘘でも間違いでもないわけです。そのあたりがこのブログの筆者のような「科学的」を重視する理系の方とどうでもいいやの文系の私の感覚のちがいでしょうか。

「仏の顔も三度まで」とか「お百度参り」、「百万遍念仏」、「読書百遍その義自ずから通ず」、「道理百遍義理一遍」、「嘘八百」、「嘘も方便」などとかいうのですから、「嘘も百遍」も意外に日本に昔からある表現かもしれません。すくなくともすごくぴったりくる表現でしょう。

オリンピックの誘致のために安倍さんは、福島第一原子力発電所について大きな嘘を2つ3つ、自信たっぷりにいいました。安倍さんは、ヒットラーやゲッベルスの上を行く雄弁家なのかもしれません。もっとも安倍さんの場合は、ちょっと間違った解釈での「道理百遍義理一遍」かもしれません。

 まあ、「プレゼン」の相手は健全な精神の国際オリンピック委員達なのですが・・・。

(2013/09/14)


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