意外に少ない輸送力
東海道新幹線とリニア中央新幹線の輸送力を比較しました。
東京駅発大阪方面行きの新幹線は現在、1日に146本あります。運行している時間は、17時間です。1時間あたり8.58…本ですが、8本/時間とします (18時台が最大で11本です)。N700系16両編成の定員は1323名だそうです。そうすると、10584人 が1時間の内に東京駅を出発することができます。
一方、リニアは定員が1000人でピーク時に1時間に片道5本の運行だそうです(2027年に)。すると、出発できる人数は、半分以下の 5000人です。
たとえば、名古屋までは、リニアは従来の新幹線より1時間早く着くのですが、1時間余計にかかっても従来の新幹線の方が、倍以上の乗客を輸送できるのです。もちろん、リニアが1日に34時間運行できるとすれば、運ぶ人数は同じです。しかし、最後の便の乗客が名古屋に着くのは始発から34時間と40分後です。新幹線では同じく18時間41分後です。どっちが本当に速いでしょうか? そして大量輸送機関として、どちらがより優れているといえるでしょうか。
輸送力というのは結局、速さには重点はなく、ボリュームの問題だと思います。通勤電車や通勤バスで分るように、実用的な範囲では、ボリュームは時間当たりの本数で決まってしまうのです。「ピーク時に5本/時間」とJR東海自身が『環境影響評価準備書のあらまし』で書いているのは、それ以外の時間は本数が少ないということですから、輸送力について速さの寄与は少ないことをJR東海自身も知っているはずなのです。
そして電力の使用量は、3倍です。リニアは大量輸送機関としては失格だと思います。リニアが1時間に8本運転するのは、なんと、32年後なのです。本当に無駄で馬鹿げた計画だと思います。
参考
- リニア中央新幹線の概要 | スピードと輸送能力 (リニア中央新幹線建設促進期成同盟会)
- 『環境影響評価準備書のあらまし』(JR東海) p11。
- JR新幹線時刻表 −東海道・山陽新幹線−東京
- 新幹線、東京・名古屋間の所要時間は、Yahoo路線情報。「のぞみ」を利用の場合、所要時間は1時間41分です。
(2013/10/09)
(a) いいかえると、東京にいる 約18万人 (179,928人) を名古屋まで運ぶのにどれぐらいの時間がかかるかということです。
- 新幹線: {179928人 ÷ (1323人×8本) }+ 1時間41分 = 18時間41分
- リニア: {179928人 ÷ (1000人×5本) }+ 40分 = 36時間39分
{ }内は、新幹線が17時間、リニアは 約35時間59分です。約18万人の乗客を新幹線は1日の内に若干の余裕をもって運べますが、リニアは、丸1日とさらに半日かかります。
(b) 18時台に新幹線は11本が発車します。この1時間について比較すると。計算式の一番左の数字は 1323 × 11 = 14,553人です。つまり約1万5千人を運ぶに要する時間です。
- 新幹線: {14553人 ÷ (1323人×8本)}+ 1時間41分 = 2時間41分
- リニア: {14553人 ÷ (1000人×5本)} + 40分 = 3時間34分
(c) 逆にリニアの1時間に5本、つまり5000人で計算すると、新幹線は、5000/1323≒3.78 で4編成で間にあいます。最初の発車を18時00分とし等間隔の発車とすると4本目が発車するのは、18時22分30秒です。この列車が名古屋に着くのが、20時03分30秒です。リニアでは5本目の出発を18時48分とすると、名古屋着は19時28分です。このあたりになると確かにリニアの方が勝ります。ただし、始発駅の5000人を乗せ終わる時間はやはり新幹線のほうが早いのです。
(a)、(b) の例について、(c) のように到着時刻を考える場合は、各時の最終発車は、新幹線が52分30秒、リニアが48分ですから、計算結果から、新幹線では 7分30秒、リニアでは 12分 をマイナスする必要があります。しかし新幹線の圧倒的優位は変りません。
(2013/10/10)