ヒヒ退治の昔話
リニアの路線と駅がくる上郷というところには、姫宮神社という神社があります。
ここには、ヒヒ(狒狒)退治の昔話があります。その要点は
- 神社の毎年のお祭りには娘を一人いけにえとして神様にささげていた
- あるとき白羽の矢がたった家で娘を出さないことがあったら、田畑が荒されて作物がとれなくなった
- 以後、必ず毎年いけにえをささげていた
- あるとき通りすがりの岩見重太郎が本当の神様ならそんなむごいことはするまい、化けもに違いないといって、娘姿に変装しヒヒを退治した
- それからは、いけにえをささげることもなく村人は平和にくらした
原発は大都市から離れた場所に建設されて来ました。政治家も電力会社も技術者達も事故が起きた時の被害が非常に大きくなることがはじめから分っていたからです。いくら人口の希薄な地域に立地したとしても、事故が起きれば、保険は普通の経済活動の範囲なのですが、損害保険では絶対に補償できないほどの被害がでることが分っていたからです。福島で事故が起きましたが、まだに、政府には収束させる意志がほとんどないように見えます。新幹線も高速道路も立退きとか、公害を周辺の住民に押し付けて来ました。成田空港建設についても大きな犠牲がはらわれました。
どの場合でもいわれたことは、公共の福祉とか、経済とか地域の振興・発展といったことだったと思います。それを受け入れてきたことは、白羽の矢がたったとき拒否すると田畑を荒されるという考え方と共通するところだと思います。立退きとか、多少の公害とか我慢しても地域の経済が発展するのだからと。
しかし、理不尽な犠牲というものは、その裏になにかおかしなことがあるというのがヒヒ退治の昔話が教えるところだと思います。
ただし、現在では通りすがりの岩見重太郎さんなんかはあてにできないので、困ってしまう住民が困らないように自分達でなんとかするしかないということですね。
実は、何度も行ったことがあるのに、私、長い間こちらが姫宮だと思っておりました。こちらは八王子神社です。
JR東海のリニア新幹線が「ヒヒ」だといっているのであります。
参考文献: 『ふるさとのむかし話 飯田・下伊那編』「ふるさとの民話」編集部編 龍共印刷株式会社 平成21年4月
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(2013/12/09)