講座「柳田学から読み取る飯田の可能性」

 飯田市立美術博物館の文化講座にいってきました(6月29日)。テーマは「柳田学から読み取る飯田の可能性」、講師は柳田國男記念伊那民俗学研究所の高橋寛治さん。あまり考えもせずに聞きにいったのですが、話を聞いているうちに以前1回だけこの方のお話を聞いたことを思い出しました。飯田市の職員から高野町に副町長として迎えられた方です。私は知らなかったですが、飯田下伊那では、そうとう有名な方のようです。

 「柳田学」ということについては、時間が足りないとのことで、あまり触れずに、高橋さんが見聞きしたことを中心に話されました。

 最後の質問の時間に「リニアの駅の位置が決まったが、飯田の町の発展にどのように生かしたらよいかという点についてどう考えるか」という質問がでました。高橋さんは、非常に答えにくい質問と断った上で、高野町の小学校の副読本のはじめに高野町は大阪まで1時間40分でいける便利な町でありますと書いてあって、すぐに作り直すようにいった、高野町では御歳暮は難波の高島屋、結婚式場も大阪まで行く、大阪にお金を吸い取られていた。リニアについては基本的には今日の話の中で新幹線の通った佐久市の話と同じ。身の丈以上のものができたとき、われわれは対応ができない。駅もつくらずどこか地下でも通っていってくれればよいと思っていた。駅ができるというのはまあ仕方ないとして、駅前に駐車場を作るだけでなんにもいらん。アクセス道路もいらん。「来たときには」最小の機能にどこまで切り詰めるかということに可能性は感じるが、中央とつながったときに自分が本当にここに足で立っているということは非常に難しいことで、必ず目は外を向く。中央集権についておもねるというかどう考えるかが問題で「来たときには」最小のものでと考えるというような答えでした。リニアについて肯定的な内容ではありませんでした。

 佐久市の話とは。佐久平と東京は北陸(長野)新幹線で72分、佐久平の駅周辺に住宅を作って佐久は元気になる、「JR東海」は乗客が増える、長野県は地域振興のモデルになるという構想について中央集権に協力した町は駄目になると指摘した。長野県としてもし本気で考えるなら軽井沢のはず、軽井沢は東京から60分、ビル・ゲイツの別荘もあるが、軽井沢のようにVIPの住宅を狙うならならともかく、一般の勤め人の住宅を提供したとしてもどうなのか。よほどリニアのことが気に食わないのか何度も「JR東海」といってました。長野新幹線は「JR東日本」。

 飯田市長や商工会議所などリニア推進を叫ぶ人々は、声は大きいのですが、おそらく多数派ではないと思います。

(2014/07/05)