「村道の通行は許さない」
7月29日付の『南信州』は1面トップで、阿智村清内路内でリニアの工事車両の通行が予定される村道について、27日に住民が会合を開いて「村道を通過させない」という意思統一をしたと伝えています。
- 『南信州』 2014年7月29日 「リニア整備工事 『村道の通行は許さない』阿智村清内路 地権者の会が意思統一」
斜坑からの残土の搬出したり工事資材の運搬するには、この村道を利用しなくてはなりませんが、この村道沿いに山林や耕地、住居がある地権者を中心に30人余がこの会合に参加したようです。
代替案など提示しないのが当然
会合では、工事車両の通行はできないという結論に達して、「代替案などは提示せず」に「『黒川線での工事車両の通行を許さない』と訴えていくことを確認した」とのことです。代替案を提示しないというと、無責任のようにも受け取られかねないご時勢、風潮がありますが、非常に理屈の通った考え方だと思います。『南信州』はリニアについては少なくとも中立の立場の記事を書かなくてはならないので、「代替案などは提示せず」と書いたのかもしれませんが、ルートの地元への利益が無いリニアについて、代替案を示して協力する必要はないはずです。毅然とした方針がいいと思います。
村道ですから道路管理者は阿智村です。道路管理者は工事車両の通行で道路の破損などが予測できるのですから通行禁止の措置が取れるはずだと思います。もともとこういう村道は耕作や山作業や生活道路としての利用が目的で、また地形の制約で大規模なものに改修することも不可能なのですから、道路管理者は、そうせざるをえないはずです。軽トラックのすれ違いができない部分があるような狭い道路だからこそなんとか利用ができているのではないかと思います。
飯田周辺で、清内路のある阿智村と同じような立場の自治体は大鹿村、中川村、豊丘村、喬木村、南木曽町があります。最近、沿線の自治体のリニアに批判的な議員さんが集まりをもったそうですが、こういう自治会とかそれに近い規模の住民の集まりを連帯させるような役割を、こういう議員さんたちに果たしてもらえたらどうなのかなと思いました。馬籠は現在は中津川市ですが、以前は長野県の山口村でした。南木曽と同じような立場だと思います。
『南信州』の第2面には飯田市松尾で市政懇談会があったという記事、見出しは「リニア ストロー効果の不安も」。リニアには期待する側面があるが、若者が地元を離れるおそれもあるから、飯田の魅力を増す必要があるといった内容。松尾小学校PTAの行ったアンケートでは将来飯田に住みたいと思う児童は9%にすぎなかったとのこと。牧野市長がブランディングと頑張っていてもこの状態。牧野市長のいうブランディング、中央からの情報のほうが広がりやすく、地元の情報は地元に広がりにくいという現実を理解しているとは思えません。
紙面の隣の記事は、「藤岡弘、さんゲストに」(原文どおり)、「飯田市 8月24日 リニア未来シンポジウム」。第1回目の小宮悦子さん(ジャーナリスト)や、第2回目の岸博幸さん(経営学)はともかく、結局、牧野さんの考えているブランディングってなんか古臭い感じがします。なんで、飯田の魅力を地元の子供や若者に伝えないのですかということですね。東京経由で全国に発信するより、地元の住民に地元の魅力を発信するほうが合理的だと思います。そういう基本的な魅力が発見できないないから、ブランディングなどというのだろうと思います。飯田市の認知度が日本で一番低い地域はたぶん飯田、下伊那だと思います。
(2014/07/30)