"「科学的・技術的なご意見」募集に異議あり"

 薩摩川内の原発の再稼動についてのパブリックコメントが募集中です。「電子政府の総合窓口 イーガブ」のページに 「九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」というところがあります。募集要項のPDFがここにあります。

原子力規制委員会は、平成25年7月8日に九州電力株式会社から核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下、原子炉等規制法という)第43条の3の8第項の規定に基づく川内原子力発電所1・2号機の原子炉設置変更許可申請書を受理し、「原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」において審査を行い、審査の結果をとりまとめました。
つきましては、今回の審査がこれまでの基準を抜本的に改正した新規制基準に基づく初めての審査であることに鑑み、下記の要領にて別添の「九州電力株式会社川内原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(1号及び2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書(原子炉等規制法第43条の3の6第1項第2号(技術的能力に係るもの)、第3号及び第4号関連)(案)」 について、科学的・技術的御意見を広く募集いたします。
同審査書(案)に対する科学的・技術的意見がありましたら、以下の要領にて提出してください。
(中略)
2.募集する御意見の内容
上記1.に対する、科学的・技術的なご意見
3.御意見提出方法
 御意見は理由を付して、以下に掲げるいずれかの方法で提出してください。
なお、提出していただく御意見は、必ず御意見の提出箇所がわかるように、審査書案のページ番号及び章番号を明記(例: 13ページ 3-1.1に関する意見【注:章番号の記載について、パブリックコメントの意見提出フォームでは、ローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ・・・)の入力ができないため、お手数ですがアラビア数字(1,2,3・・・)に変換して下さい】)して提出してください。

 本論とずれますが、黄色い文字の部分はなんとなくマヌケな感じです。そこまで厳密さを要求するなら、審査書でローマ数字を使わなければよかったんじゃありませんか。

 これについて、グリーンピースのページが紹介しているのですが:

 はじめに、こんな風に書いていあります。

今、日本全国の原発はすべて止まっています。このまま止め続けておくために、この夏、あなたにできることがあります。川内原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントを出すことです。締切は8月15日。国の原子力規制委員会が募集しています。 募集するのは「科学的・技術的なご意見」とありますが、ひるむことなく、ふつうに意見を出しましょう。

 そして、

審査書案は423ページ。地震や津波の想定や、事故対策についての審査結果が書かれています。ご一読をお勧めしますが、「火山の専門家の意見を聞くべきじゃないの?」「大飯原発差し止め判決は参考にしたのかしら」「避難計画は審査しないなんておかしい」.....など、テレビのニュースや新聞/インターネット記事などを読んで、ふだん考えていたことなどを書けばいいと思います。
・・・
2)「科学的・技術的なご意見」募集に異議あり
こんなことで、市民が委縮したら困ります。広く一般市民が参加しやすい呼びかけにすべきです。

 リニア中央新幹線の環境影響評価書は18000ページで、工事も含めリニアが環境に与える影響について書かれています。これを全部読むというのは大変です。関心のある部分を読むのも良いと思いますが、環境影響評価書はリニアという計画の一つの側面、段階であって、そもそも必要なのかということについては何にも論じていません。

 橋山禮次郎さんの主張のなかで、環境への影響は反対の理由の一つではあるのですが、経済的に上手くいくのか、国家的な事業であるのに論議が十分に尽くされていないじゃないかという点に重点があるように思います。これは、「科学的」とか「技術的」とかいうよりは政治や経済の問題です。

 われわれ住民は政府のやることについて、なんとなくおかしいと思うことがあるはずです。選挙のとき候補に投票するとき政治学的に論理的に説明する義務はありません。しかし投票することは意義があるとみなされています。現政府の政策に反対する候補者や政党に入れることも当然許されています。なんとなく反対でも反対することは現代の民主政治のなかでは許されているわけです。だから、一般国民に向かって科学的、技術的に意見を言えというのは政府機関のやることとして基本的に間違っていると思います。

 リニアについても原発についてもそうなのですが、反対運動の主張について、説明が科学的でないとか論理的でないとか感情論だとかいう人々がいますが、結局こういう意見は、政府が一般国民に向かって科学的、技術的に意見を言えというのとおなじことで、一般国民の発言する権利を萎縮させようとする政府に加担するものだと思います。

 リニアについてちょっとでもおかしいと思うなら、ちょっと待ってください、分かるまでとことん説明してくださいと誰でもが言ってよいと思います。

 多少説明のしかたが異なっていてもリニアに反対という結論がおなじなら、それでよいと思います。結論がおなじなんですから、細かい差異をことさら取り上げて反対運動に問題があるみたいなことをいう人には、どっちの側にいるんですか、本当に反対なのですかと聞きたいですね。

参考資料

国の行政機関は、政策を実施していく上で、さまざまな政令や省令等を定めます。これら政令や省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民の皆様から意見、情報を募集する手続が、パブリックコメント制度(Public Comment,意見公募手続)です。(パブリックコメント制度(意見公募手続制度)について)

 パブリックコメントという制度があるのは、国民に主権があるからで、政府の政策や、自分の周囲の生活環境に変化を及ぼすと思う事業などについて国民は意見を言う権利があるというよりは意見を言うべきだということだと思います。

(2014/08/07)