9月3日に豊丘村で『リニアが日本を改造する本当の理由』の市川宏雄氏が講演

 JR東海は昨日、8月26日に工事申請をしたので、なにをいまさらという感じがするのですが、リニア推進の市川宏雄さんがわざわざ当地にこられて講演会をなさるそうです。市川さんといえば、『リニアが日本を改造する本当の理由』(※1)という本の著者で昨年リニアのルート決定からいままでこの本は当地の書店では目立つ場所に陳列されてきました。売れたかどうかは分かりません。最近は隣に橋山禮次郎さんの『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』と並べて陳列してるような状態なんですが・・・。

地域活性化講演会
「リニア開通で変る
下伊那北部地域の将来」

 下伊那北部5町村(松川町、高森町、喬木村、豊丘村、大鹿村)で構成する下伊那北部総合事務組合では、当地域のまちづくりや活性化を推進するにあたり、幅広い分野で活躍されている講師をお迎えし、地域活性化講演会を開催します。
 多くの皆様のご聴講をお待ちしております。
▼日時 9月3日(水)午後6時30分~8時20分
▼場所 豊丘村保健センター2階(豊丘村役場隣)
▼講師 市川宏雄さん(明治大学専門職大学院長)
▼入場料 無料

 いまさらというのは、飯田、下伊那の市町村長や経済界の指導層のかなりの部分の人は、リニアの熱がちょっと冷め始めたようで、というか現実味をおびてきたらビビッてしまったような状態(※)、リニアが来ても大丈夫なように頑張ろうみたいなことを言い始めています。そんな時期に東京さえよければのおめでたいことばかりをいうような人物の話を聞かせてもうわっすべりするだけじゃないかなあと思っています。下伊那北部の大鹿村は工事で大変なことになるはずです。豊丘も相当の迷惑は受けるはず。喬木は一つの集落が立ち退きや日照被害など深刻な問題にさらされるし、用地交渉は喬木村の職員がすることになります。豊丘も大鹿も区分地上権の設定の問題を含め用地交渉はあるはずです。下伊那北部は、特に関係する村はマイナス面ばかりだと思うのですが。聴講できたら報告します。

※ 『南信州』8月28日付け1面。「課題解決の責任重大 表情引き締め牧野市長」(見出し)、「実現までの間に乗り越えるべき山(課題)を考えれば、もろ手を挙げて喜ぶというより、課題解決に向けた責任を果さねばならないとの気持ちのほうが大きい」、「工事の進ちょくには住民不安の払拭に意を配さねばならない。そう簡単なことではない」。しかし、JR東海の澤田中央新幹線建設部担当部長は丁寧な説明はするかもしれないが住民の要望は聞き入れないといっています。「・・・評価書自体が住民に向けた宣言。・・・それに加えて特段の協定を結ぶことは現段階では考えていない」(『南信州』8月28日、2面、「県と協議し改良を検討 JR東海 澤田部長の一問一答」)。そういう態度のJR東海に対して飯田市長はどういう姿勢をとるつもりなのか多いに注目したいです。リニア建設促進の立場では何もいえないはず。リニアの実現とは血を流さずに人間の肉を切り取るような話だと思います。

※1 アマゾンのレビューから

 リニアなど、こんなもの、鉄軌道の新幹線が、せいぜい最高時速200km台だった1970年代なら、「最新技術」と言えたかも知れないが、そう遠くない将来に、鉄軌道でも最高速度400km台の運転を達成しようという時代には、それでなくても、全国ネットワーク構築のさいの不手際から、ひどくガラパゴス化している日本の鉄道網のガラパゴス化に屋上屋を重ねるものにしかならないだろう。・・・
 由来、鉄道というアクセス手段が、自動車や航空機などの輸送手段に優位を保てるのは、旅客輸送では、おおむね1時間超から3時間くらいで目的地に到着できる範囲までのこと。ところが貨物輸送となると逆で、長距離8百〜1千kmを超えるあたりから、トラック輸送や内航海運などに対して強力な競争力を発揮することになる。ところが日本の鉄道網は軌道や橋梁が貧弱なため、旅客輸送に特化することで、どうにかこうにか部分的に社会の要請に答えてきたというにすぎず、いまだ国際規格の「海上コンテナ」さえ取扱い不能というような状況。
 貨物輸送がダメなら、夜行列車も走らない。こんなリニア計画など、要は、実需というものを考えず、新しい試みなら何にでも飛び付きたがる技術屋さんの「おもちゃ」にすぎないということだ。
 かつての「SST(超音速旅客機)」の失敗や、現在の「高速増殖炉もんじゅ」のザマを繰り返すことになるだけだろう。
 なに〜、 「名古屋から東京に通勤」だって。おつむがイカレてんじゃないの、こちらさん。
1980年代のリニア提灯本とどこが違う?・・・この方は東京一極集中は素晴らしいことであるという立場であり、その辺が過去にリニア推進された学者、専門家の方の東京一極集中の弊害を改善するためのリニア推進派とは違う。(首都機能移転による国土開発)未来の人口動態(生産年齢人口層等若干の記載、p177)も世界経済における日本の経済予測シミュレーションも無い。全て効率性で解決出来るようである。殆どがすでにJR等やJR関連コンサル(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)から公表されている資料・情報である。また、ご多分にもれず、自然に与えるインパクト、環境影響等にはまったく触れていない。技術革新あるいは技術発展が人間を必ずしも幸せにしないという事を都市政策では議論されないと言う事が良く分かる本でもある。・・・

(2014/08/28)