地区別の事業説明会も公開が大原則

 JR東海のリニアの市町村別の事業説明会は長野県の場合は、11月4日から18日までの間に九つの会場で行われました。この事業説明会のあとの、地区単位の事業説明会が、22日からはじまりました。開催の単位は自治会単位、自治会に属していない住民もいるので、あるいは自治会の存在する地図上の範囲に住む住民が対象という意味だろうと思います。元来、そういう区切りは厳密なものではないはずです。

 この地区別の事業説明会について新聞はどう伝えているか。たとえば『信濃毎日新聞』は、「JR東海は22、23両日、リニア中央新幹線東京(品川)―名古屋間について、県内初となる地区単位の事業説明会を、県内駅が設置される飯田市上郷飯沼の北条地区の北条振興センターで開いた。・・・ 地元関係者以外は非公開。JR東海広報部や地元の自治組織によると、同社環境保全事務所(長野)の太田垣宏司所長らが、駅の建設を2018年中ごろに始めるなど、飯田市で14日に開いた事業説明会と同様の内容を説明した。」(11月24日)と書いています。

 「地元以外は非公開」というのはどういう意味でしょうか。JR東海は18日までに行われた市町村単位の説明会のなかで、はっきりと「地元以外は非公開」といったことはかったはずです。市町村より小さい単位、地区単位、自治会単位で事業説明会を開くといっていたはずで、地元以外の方は出て行けということまではいわないといっていたはずです。ただし地理的に住民が参加しやすい会場は、ほとんどの場合小さくなるので地元の人が最優先という意味はあると思います。思いますが・・・

 『信毎』の記事によれば、14日に飯田市の地場産業センターで開いた市町村単位の説明会と同じ内容の説明だったというので、両方の説明会に重複して参加した住民もいたのだと思います。そして、『信毎』の記者さんは、JR東海や住民に説明会の後で会場の外でインタビューをして記事を書いたはずです。説明内容を住民が報道関係者に話してはいけないとJR東海がいう権利はないはずです。

 地区単位の事業説明会も地理的な近さや会場の狭さのような物理的な理由のほかには「参加は地元住民にかぎる」理由はないと思います。報道関係者の取材をJR東海が嫌う理由はわかりませんが、住民の理解や同意を得るにはすべて公開が原則だと思うので、取材を制限すべきではないと思います。たとえJR東海が開く説明会であっても、関係地区の住民に理解を求めようとする説明会ですから、自治会の態度によって取材についてはどういう方針でも良いはずです。

 市町村単位の事業説明会のなかで、土地にかかわる法律的な問題で、JR東海はちょっと歯切れの悪い説明をしてきています。そのほか、説明不足や理解を求めようと歩み寄りをする様子も実はありませんでした。

 私が提案したいのは:

この3つです。これは、市町村=自治体がやっても良いけれど、最後の砦としての地区の自治会は絶対にやらなくてはならないことだと思うし、それを後押しするのは住民ひとりひとりの発言だと思います。

 JR東海が、というか、こういう事業を無理に進めようとする側は、関係地区や個人をできるだけ孤立させたほうが都合のよい面があるのではないかと思います。だからこういう意見とか見方が出てくるのは無理はないと思います。

 一つ付け加えると、このブログに出ている広報の画像、この文書の内容はおそらくJR東海が、これを流してねと大鹿村の有線(村のケーブルテレビ)に依頼したものをそのまま流したものではないかと思います。

(2014/11/25)


(補足 2014/11/28)『東濃リニア通信』が中津川市の坂本で行われた地区別の事業説明会のJR東海の説明と質疑応答の内容を掲載しています。 「リニアを考える岐阜県民ネットワーク」の事務局が録音を書き起こしたものです。