森永卓郎氏講演会

 昨年の9月27日、御嶽山で噴火のあった日、伊那文化会館でジオパークの大会があって、開会セレモニーを見てきました。阿部長野県知事ほか来賓の幾人かが演壇に立つ前にステージの背景にむかって一礼をしていました。最初なにかなと思っていましたが、これがあれのことかと思いつきました。ここに書いてあることだと。当日、日の丸は飾ってありませんでした。つまりなくても、こういう会では飾るべきであるから、一礼をするということなのでしょう。

 3月28日に、喬木村の福祉センターで森永卓郎さんの講演会がありました。森永さんの話に先立って市瀬村長が挨拶をしました。演壇に立つ前にステージの背景に向かって一礼をしました。下の写真のとおり、背景に日の丸は飾ってありません。


 私は福澤諭吉さんたちとはあまり親しくないのですが、彼が若い頃のエピソードはだれも知っていると思います。みんながありがたがって拝んでいるほこらになにがまつってあるのかと中を見たら、石ころが入っていたので、他の石ころと取りかえたけれど、みな以前と同じように拝んでいたのがおかしかったという話です。

 日の丸が飾ってあれば、一礼するのも分かる気がしますが、飾ってないのに一礼をするということは、その会を準備したスタッフに日の丸を飾れと言っているようなものじゃないかと思いました。

 市瀬村長さんは、見るからに真面目な方だし、喬木の人たちも真面目な方だといっています。森永さんは、あの調子でしゃべりましたから、聴衆には結構うけて、時々笑い声なんかもありました。しかし、市瀬村長さんは終始真面目な表情で聞いておられました。はっきりとした言葉で言ったわけではないですが、森永さんがリニア事業の評価について、また「リニアを見据えた」と地元の行政なんかが言っていることについて、かなりきわどいことを言っていると理解したからかも知れません。

 講演会が終わってステージから降りるとき、森永さんはステージ左手の奥のほうへ入っていって出てきません。スタッフの一人がステージにあがって連れ出して来ました。ステージの奥の左に出口はないはずです。会場は沸きました。

 そんなに大きな会場ではありません。森永さんは、上の写真の左手の背後のドアから入室して客席の左側を通ってステージに上がりステージ右端のイスに座り待機していたので、ふつうに考えれば来た道を戻ればよいはず。

 市瀬村長さんは、知識も豊富で真面目な方と思います。しかし、誰もがやっているからといって、飾ってない日の丸の場所に礼をするという行為の意味を考える必要があると思います。それは首長としてやるべきでない。準備した人々に対して失礼です。また、飾ってなくても一礼するなどは、文明開化の頃の合理精神に照らしてもおかしなことでナウじゃありません。

 途中で「喬木村未来づくり講演会」という横断幕が垂れ下がったりして愉快な講演会でした。なお講演の要点は、地域づくりは、わかもの、よそもの、ばかものの「なんだこれは」と思うような意見を大切にということと理解しました。

(2015/04/28)