リニアは「もう決まったこと」ではない

 5月10日、喬木村で喬木村9条の会の総集会で前阿智村村長の岡庭一雄さんが「憲法が生きる地方自治〜満蒙開拓から学ぶもの〜」と題して講演をしました。

 喬木村はリニア新幹線のルートにあたります。リニアは村の霊園の直下をくり貫いたあと、阿島地区の集落を高架橋で分断します。阿智村では路線は全てトンネルで通過しますが、リニアの工事が観光業や住民の生活に与える影響が心配されていて、岡庭さんの提案した村独自の社会環境影響評価が行われています。

 前半は各地で話されたのと共通の内容が多かったです。話の最後の部分に新たな内容と思われる部分があるのでメモしました。

 岡庭さんの話に照らすなら、リニアの問題は住民が十分理解できるまで説明されていないし、関係する自治体で十分論議がなされたわけでもありませんから、リニアの工事が認可されたということは、住民自治という憲法が指し示す方向に合わないことは明らかです。

 リニアに不安を抱く人でも、「決まったことだからもう仕方ない」とか「そこのけそこのけお馬が通る、JR東海はお殿様だから反対できない」とかいう方がいますが、リニア計画は国の段階でもきちんと論議されていないし、直接被害をうける自治体の議会でも論議されていないのですから、つまり「決まってはいない」のですから、あきらめる必要はないと思います。今からでも文句を言いましょう。またリニアは開発過程において、異論にも耳を傾けた十分な研究がなされたわけではないといえると思います。

 ついでにいうと、リニアの害を極力減らして、よいところをとるという言い方をする、特に議員さんや首長がいますが、血を流さずに肉を切り取ることは出来ないはずで、そういう秤にかけるような議論は、基本的にどこかおかしいと思います。たいていの場合、害を減らす、無くすことに重点を置いたほうが実利的だと思います。

 リニア中央新幹線建設促進期成同盟会という組織が幅をきかせているのですが、住民自治という考えからみて正統性があるとは思えません。昭和48年から活動してきてリニアは悲願だとは言っても、リニアによる生活破壊、環境破壊が現実に迫ってきている現在でも、心底から「悲願」という人は飯田下伊那に何人いるでしょうか。

※1.小さな町や村の議員で住民の声を聞こうとしない、議会報告をしない、おのれの家の名誉と思ってやっているような連中がいるのは困ったもの。

※2.リニア推進で中心的な立場にある飯田市は、自衛官募集に関連しては自主的に適格者の名簿を自衛隊に提出している。

※3.飯田市議会のなかでは議員はリニアについて自由に論議することは禁じらているように見えます。リニア問題ではないが、議長と考え方の違う議員に対して議長が公的な席で嫌味をいうようなことが、自民極右支持派が牛耳る議会ではないでもない。

参考:西沢権一郎氏の責任 ⇒ 長野県 > 知事会見(平成25年(2013年)4月19日(金曜日) 14時00分〜15時00分 県庁:会見場) の「6 満蒙開拓平和記念館について」

(2015/05/13)