山梨県立科学館
「リニア着工を許さない 沿線住民・怒りの集会」に参加するため甲府に行きました。せっかく行くので、周辺にある、御開帳中の甲斐善光寺と愛宕山にある県立科学館を見てきました。
甲斐善光寺は、飯田の元善光寺(長野の善光寺より歴史が古い)に比べ大きくて立派な建物で、丹塗りです。
県立科学館は、多分世界でも唯一の珍しい天体観測ドームで知られています。南東から見るとこんな感じで普通の天文台のドームに見えます。
北東から見ると。ドームが回転する面が斜めに傾いています。右側にエレベーターがあります。
開口部分が北に向いた様子。なにか変な感じですね。
内部にはこんな形の望遠鏡がありました。普通の望遠鏡とは形が随分違います。クーデ式といって、接眼レンズの位置が望遠鏡の向きに関係なく一定なので、誰でも観察しやすいという特徴があります。
なんでドームが斜めになっているかといえば、この望遠鏡の背が低いこと、エレベータで観測室に出入りするようになっている関係からだそうです。西の空に見える金星とか水星、三日月、やはり西空に見えることが多い彗星などは観察しづらいだろうと思いました。
太陽を観察できました。最初はドームの内側に太陽の像が映されて、次に安全のために光の強さを弱めるフィルターをかけて望遠鏡を覗きました(解説者から、ご家庭では絶対まねしないようにとの注意がありました)。さらに、横についている小さな特殊な望遠鏡(Hα線という波長だけで観察する)でプロミネンス(紅炎)やダークフィラメントという現象を見せていただきました。こんなのは初めて見ました。
太陽観察まで時間があったので館内を見学しました。さすが山梨、リニアの模型の展示があります。左のオレンジ色の筒状のものはサイエンスショーの実験台です。
サイエンスショーの「超低温の世界」の実験の様子です。説明者の右手が指しているお皿の中に液体窒素で冷やした超電導物質があってその上に磁石が浮いています。後にみえるリニアもこの原理を使っていると説明していました。「磁石のふしぎ」でどんな説明をしているのかは分かりませんが、ここでこのショーは終わりなのですから、子ども達に誤解を与えると思います。リニアの浮上原理(フレミングの法則)とこの実験の浮上の理屈(マイスナー効果とか、ピン止め効果)は全く違います。前者は多量にエネルギーを使うのに、後者はエネルギーの出入りはありません。
この科学館の建物は造りが凝っているのですが、中にいるとなにかめまいのするような感覚がありました。また、火災などのとき避難経路などが分かりづらいのではないかとおもいました。建物の構造が把握しにくいのです。展示物は、身近な自然よりは、先端技術や工学に重点があるように感じました。
(2015/05/18)
訂正
「多分世界でも唯一の珍しい天体観測ドーム」と書きましたが、ドーム内部の望遠鏡のメーカーの五藤光学のページには、「スライディングルーフや傾斜型天文ドームを設置すれば・・・」と書いてあって、埼玉県加須市にある加須未来館にも同様の傾斜型天文ドームがあるようです。それでも、実用性は別にして、天文ドームとしては珍しいです。
(2015/05/18)