リニア品川駅工事の入札が不調

 「東濃リニア通信」11日によれば、リニア中央新幹線の品川駅建設工事の入札が不調に終わったそうです。

 6月13日号の『週刊ダイヤモンド』の「ゼネコン」特集の冒頭部分に書かれています。

 「入札は不調だった。先方の予定価格に合わなかったということだ」(大手ゼネコン関係者)――。
 総工費5兆5235億円。東海旅客鉄道(JR東海)が威信をかけて取り組む超弩級プロジェクト、リニア中央新幹線計画。
 その第1弾、東京側のターミナル駅となるリニア品川駅の建設工事の入札がこのほど行われた。スーパーゼネコンを含む複数社が応札したもようだが、結果は関係者の言葉どおり、不調となった。JR東海の予定価格よりも、札を入れた全社の提示した価格が上回ったというわけだ。

 品川駅は現在使われている状態のままで工事をしなければならないので非常に困難が予想される工事ですが、南アルプスを貫くトンネルは土被り1400mと前例のない規模のもので、難工事が予想されます。「一般的にトンネル工事では、作業を始めてみないと地質の本当の状態はわからない」(複数のゼネコン業界関係者)そうです。つまり、いくらかかるか分からないほどお金がいる。

『ダイヤモンド』の特集の最後のほうに大成建設がトンネル工事のための地質調査の新しい方法を開発したことについて書いています。しかし、それで工事が簡単に安くできるとまでは書いていません。

 これまでJR東海は非常に手堅い検討をしたと説明してきました。であれば、工事の入札が不調になるはずはないです。計画が本格的になったのは、東日本大震災より後です。復興関係の需要や東京五輪で増える建設需要についても考慮していたはず。

 大鹿村での斜坑口の工事の開始時期も遅れはじめました。現在の国の財政で国費の投入ができる可能性はないのですから、本当に実現できる計画なのかはなはだ疑問です。長野県も関係自治体も拙速に走って無駄な税金や労力を費やさないで欲しいです。むしろ、明確に計画の再検討のため中止を働きかえるべきだと思います。生殺し状態の関係住民の生活の安心のためにも、自治会、市町村、県は、この際事業の全面停止と再検討をJR東海と国土交通省、政府に働きかけるべきだと思います。

 時間をカネで買う東京の一部の人々の高速移動のためだけに、住民が不安にさらされるいわれはないと思います。

 さて、このニュース、新聞やテレビ、ラジオでは報道されなかったと思います。JR東海にとって非常に都合の悪いニュースだったのではないかと思います。

(2015/06/13)