大深度法適用地域での事前調査

 「ICT甲府」のページ「大深度地下使用に係る井戸等の物件調査」。8月3日に書かれたもので、8月3日現在では大深度法適用地域の工事についてはまだ許可が下りていないだろうという内容のものです。

 「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」の第13条は、「事業者は、使用の認可を受けようとするときは、あらかじめ、事業区域に井戸その他の物件があるかどうかを調査し、当該物件があるときは、次に掲げる事項を記載した調書を作成しなければならない。」とあるので、これらの調査をしているとすればまだ認可はおりていないという理屈です。JR東海の関連ページには、ページの見える部分には日付がいっさい書いてありません。しかし、個々の図面のPDFファイルをダウンロードしてプロパティを調べると作成日は7月24日になっていますから、その日以降でないと調査も認可もないはず。

 ところで、「40mより深い井戸」というのは、JR東海の「中央新幹線(品川・名古屋間)大深度地下を使用する区間における井戸等の物件調査の範囲について」というページにある言葉です。

 中央新幹線の大深度地下を使用する区間では、ルート上に40m以上の深井戸等の物件があるかどうかの調査を行います。(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法 第13条)
 調査はルートに部分的にでもかかる可能性のある土地を対象に行います。調査範囲図は以下のとおりです。

 第13条には「40m」という数字はありません。「井戸その他の物件」としてあるだけです。路線上に30mの深さの井戸があったとして、10m下の深さ40mにトンネルが掘られた場合に影響があるのか無いのか考えれば、深さに関係なく「井戸その他の物件」をリストアップするのが本来だろうと思います。

 本題とは別にしても、井戸については、路線上だけでなくその周辺にある井戸についてもトンネル掘削で水量、水位などに影響がでる可能性はもちろんあるので事前に調査して影響が出ないように工夫する必要があると思います。

 あたりまえですが、下伊那郡内や飯田市内は大深度法の適用地域ではありませんから、事業者のなすべき手続きは大深度法の適用地域より厳しい。つまり、どんなに深くても、なんの特権的な条項もありません。都会地での40mまでの浅いところと同じ手続きが必要です。

 JR東海は下伊那郡内や飯田市内の説明会では深井戸のある場合は個別に相談しますとだけ説明しただけです。都会地で今回JR東海がやっている(やろうとしている)調査は当然、飯田、下伊那でも行われるべきものではないかと思います。やるのかも知れませんが、そういうことが全くハッキリしませんね。

 用地買収をしなくても済む、直線で行けるなど、沿線の騒音問題がないなどトンネルは上手い解決手段のように見えて意外に厄介な手段だと思います。もちろん赤石山脈の複雑怪奇な地質の問題もあります。予算が事前に確定できないという問題もあります。路線の延長の8割以上がトンネルになってしまう、直線で結ぶという基本的なアイデア自体に無理があると思います。

(2015/08/25)