ルート表示杭

 JR東海は4月末から5月初めにかけて、中心線測量をして中心線杭や路線幅を示す杭を打ちました。その中に「ルート表示杭」というのがありました。4月30日に飯田市座光寺、南大島川にかかる長生橋を渡った天竜川の堤防の近く、笠原工業という大きな建物の南側の果樹園の南の空き地のような場所にルート表示杭が設置されました。


9月11日撮影。後ろの建物は笠原工業。

 『南信州』9月19日付けは、喬木村の阿島に「ルート表示杭」が設置されたと伝えました。「飯伊の計画地に同様の表示杭が設置されるかは不透明だ」というほどの代物じゃないと思いますが・・・。


9月20日撮影。後ろの建物は「マツザワ喬木工場」。丸窓が特徴。

 どちらも背後の建物が特徴があるので遠方から路線の位置を確認するのに便利です。どうでもよいことかもしれませんが2本の杭を比べてみます。


左=座光寺、右=阿島

 どちらも基本的に木製。柱は左が丸棒で右は角材(10p角)。表示部分は左はプラスティックの板で、右は15o厚のべニアの表面に樹脂製の薄板を貼っています。表示板の取り付け方が左はかなり複雑。表示板の平行を保つためです。最先端のリニアの技術を持つJR東海としてはちょっとあか抜けない作品です。リニアの技術自体があか抜けないといえないこともないのですが。右は要領のよい作りです。高さは135pほど、表示板の最大幅が約80pです。

 トンネル廃土の置き場について実はほとんど進展はないので、トンネル工事はできません。飯田市街地周辺では、目に見える形での進捗としては立て札を建てるぐらいしかないということなのかなとも思います。

 なお、阿島のこの場所では、路線幅がはっきりとわかります。左右の杭は黄色です。名古屋の方を向いて右側の杭には「R」、左側の杭には「L」の文字が書いてあります。ようするに「下り」。飯田線は東京方面が「下り」です。JR東海は本社は名古屋なのに、名古屋方面がなんで「下り」なんでしょうか。工事認可申請の平面図は左に品川が来るように逆さ、南が下になっています。起点が左に来る。そういう決まりなのでしょうが、地図は北を上にするのが誰でも知っている原則。バカみたいな話です。


5月14日撮影。矢印位置に杭があります。目印にリボンを付けた棒が見えています。画面をクリックで拡大。

 立ち退きだけでなく、日照障害、騒音、振動などで相当多くのお宅が影響を受けるのは明らかです。高架の高さは「マツザワ喬木工場」より高くなるはず。景観も台無しです。

 「売地」の立て札はルートが決まる以前からあったと思います。

杭のいろいろ


いずれも木製で太さは6p角。(5月14日撮影)。


舗装道路やコンクリート部分などに打ってあるピン。カラー部分は合成樹脂製。並んでいる横方向で距離は必ずしもおなじというわけではないです。文字はマジックで現場で書いたものです。車の通る路面のピンでは文字が消えてしまったものもあります。(5月14日撮影)

 路線幅まで示したのは、喬木村内と豊丘村内です。飯田市の座光寺や上郷地区は、周辺整備との関係で設計協議ができていないのでルートの中心杭だけが打ってあります。


左=(8月8日座光寺で撮影)「細部基準点 N-8 CJR」、右=(6月30日北条で撮影)「同 N-15 CJR」。金属製です。これらは測量の基準に使うのでしょうか?

 敷地内や住居のそばなどにこんな物を打たれたら心配になるのは当たり前だと思います。数軒の方にお聞きしたところでは、杭を打たせてほしいというお願い以外には、JR東海からも自治体からも何の連絡もないとのことでした。杭打ち作業を直接したのは下請けの測量業者ですが、JR東海から事前にお願いがあったとしても作業当日に声もかけずに打っていったとか、土手を崩していったという話も聞きました。喬木村内では立ち会っているのを見かけましたが、どこでも地権者さんが立ち会っていたわけではないようです。

 山梨県では地元住民が許さないので中心線測量がほとんど行えていない地域があります。長野県内でもあります。価値のない事業のために移転しなくてはならないというのは理屈に合いません。現在と同じ条件の移転先が見つかる可能性などはないだろうと心配している方もおられます。

(2015/09/21)