(追記 2016/03/21) 3月20日、ある豊丘村議からうかがったところでは、村長の言動に対して村内から批判がでているそうです。なかには役場に電話で数十分にわたって抗議された方もいたようです。下平村長の自宅は小園地区で、ここで紹介したチラシ(PDF)は村長宅にも配布されたもので、村長がいっているのはこのチラシのことだそうです。いずれ村長みずから議会で謝罪するか、なんとかしなくてはならないだろうというお話でした。


豊丘村長は村民の心配に真摯に答えよ

 3月15日の『信毎』の記事「豊丘 残土懸念する声 村長『リニア反対のための後付けで反対』 村会一般質問で答弁」は次のように書いています。一部紹介。


 これは議場での発言。議会のあとでの信毎の記者の取材に対しても同様のことを語ったようです。


 こういうたぐいの発言を確信をもって言うのはよほどおかしいと思います。JR東海の専門は鉄道建設であって治山ではありません。そのJR東海がたてた詳細設計では非常に心細い話。

 村長が理解している安全について具体的に説明すれば済むはず。村長自身が安全について確信がないのではないか。あるいは、住民の安全に関心がないのではないか。

 安倍晋三さんは、困った発言を繰り返していますが、上から下まで、国政レベルから村政レベルまでがこれじゃね。日本はどうなるんでしょうか? 安倍さんの、たとえば、「保育園落ちた日本死ね」にたいする、「匿名である以上、実際に起こっているのか確認しようがない」という反応よりさらにひどい発言だと思います。

 残土埋め立てに反対している方々は、沢の中に土地をもっていると同時にその下流の住民でもあります。また複数の専門家も沢に残土を置くことは危険と指摘しています。一方「残土を捨てた方が治山につながる」という意見もあるようですが、これは初耳の珍説。治山は治山のやり方があるはずで、残土=残業廃棄物の捨て場とは考え方がぜんぜん違うはず。中国で起きた残土置き場の崩壊はつい最近のこと。中国でも日本でも残土にはたらく重力の作用はまったく同じ。

 『信毎』によれば、吉川議員は2014年の7月の県への残土置き場候補地の報告にも触れたようです。


 まず、村が残土処理地の容量などについて調査したかどうかということ。村に当時そんな手間をかける余裕があったのかということ。そんなふうに表向きの段取りを考えるよりは・・・・

 まずJR東海が沿線から工事に都合のよさそうな場所を選んで、県から問い合わせが来たら、このくらい引き受けれますよと回答してくださいと村にお願いするわけです。もちろん地権者との交渉はJR東海がやりますよという話です。それを県が1枚の紙にまとめてJR東海に示した。これなら村に手間暇かけませんから、関係市町村はスンナリ、何も考えずにやったのでしょう。この方が理屈に合っている。

 しかしこれでは、村長や村役場が村民の安全に対して責任を持っているとは言えません。

(2016/03/15)

(2016/03/16) 住民の心配の内容がわかる資料のご提供をいただきました。(PDF) 資料は今年の2月26日に小園自治会内(約150戸)に配布されたものだそうです。横長の資料でパソコン画面では若干読みにくいので表面と地図内のコメントを下にHTML化して掲載しました。裏面は地図です。

 2つの沢に残土を置くことそのものの危険性が論点であることは明らかで、下平村長の『リニア反対のための後付けで反対』という言葉は極めて不適切。住民をバカにしていると思います。


盛土で谷を埋めてもホントに大丈夫なの?

小園・伴野のJR説明会からリニア 盛土計画を考える

1 月18・19 日 説明会出席者意見要旨

  • 大きな盛土だ、流出すれば小園がなくなる。
  • 暗渠・水路はどうなるのか。
  • 地震に対する考えはどうか。
  • 残土処理は止めてくれ。
  • 本当に大丈夫か?
  • 土砂流出危険渓流に指定されているがどう対応しているか。 もし、流出したときは誰が責任を取るのか。
  • そもそも、何故この区域が、残土処理場として候補地になったのか納得いかない。土地所有者は承知していない。
  • 残土の最終管理が土地所有者と言う事になれば、災害の時に賠償責任が生じる。 子孫に責任を負わせたくない。印鑑は、押せない。
  • 家の前の洞が埋まって平らになれば、安全でよい。
  • 工事は、施工業者と連絡を密にしてやってほしい。


広島の土石流災害(死者76名)設計基準を超えた大雨による土石流。被害の大きかった4地区の合計土砂量は50万m3。源道寺は、50万m3を超えている。

JR東海要旨

  • 国・県等の設計基準により設計している。
  • 土砂流出防備保安林であるが、国・県に申請して、解除する。
  • 盛土の量は南の沢で25 万8 千m3 牛草沢で、25 万9 千m3 計51 万7 千m3
  • 盛土の完成表面勾配は、上部平坦部分は2~9%、下部に向かって22.5%(13 度)。 北側の牛草沢は、平坦部が1.1~4%、下部に向かって21%(12 度)の勾配で盛土する。盛土の最大の高さは南の沢で20.5m、牛草沢で23m。
  • 牛草沢の上部平坦部には、村道の付け替えをする。
  • 現在の立木・竹等は全て伐採し廃棄し、盛土をする。
  • 暗渠工・表面排水(3 面張り水路)は実施する。
  • 土地は、借り上げで、工事期間中は借地料を支払う。
  • 盛土終了後は、植栽の上、土地所有者にお返しする。
  • その後の管理は、土地所有者となる。
  • 下流域の同意を得てから工事を行う。


西宮の震災時地すべり(死者34名)浄水場建設の谷埋め盛土 が、地震時に地すべりを起こし、大惨事となった。国・県等の設計基準により 施工された。

区長さん挨拶要旨

  • 現地は、崩壊流出の危険がある。
  • 盛土で埋めれば危険はなくなる。
  • 治山的にもよい。 災害で賠償責任を問われたことはない。
  • 伴野区では決められない。最終的には村が決定する。 土地所有者がJRに承諾の印鑑を押すのが大前提だ。
  • この説明会をふまえ、詳細設計に入って良いでしょうか。

この地域は、36 災害前から保安林に指定され、それぞれの沢には、10 個以上の治山堰堤(えんてい)が造られています。 また、土砂災害防止法による、土石流危険渓流(牛草沢)に指定されて、県が管理しています。

盛土工事が実施されると、これらの指定は、すべて解除されます。 工事完了後の盛土の管理は、JRでなく土地所有者という事も納得いきません。

トンネル残土はとても風化しやすい花崗岩の粉砕土砂で、土砂災害の危険性が大きい土質と言われています。 沢山の人家の直上部に、膨大なトンネル残土の盛土がされることが大変心配です。

国・県等の基準により工事を施工した、ため池の土手の盛土、宅地造成した盛土が 、異常降雨や、東日本大震災、阪神淡路大震災等で流出し、下流に大災害を起こしました。

東海沖地震・南海トラフ地震が間近に予想され、避難計画等の対策がとられています。 約52万m3の膨大な盛土は、わざわざ異常降雨や地震による災害のリスクを、作ることになるのではないでしょうか。

豊丘村の盛土を考える会 菅沼昭彦 栗澤左門 (裏面もどうぞ)



地図内のコメント

外から見ると竹やぶで荒廃したイメージですが、2 つの沢を歩いてみました。


谷筋は、風倒木の管理や手入れが必要ですが、治山堰堤により川底の低下が抑えられ、川岸には30 年を超える木が根を張り、川の中の石には苔が繁茂していて、安定した流路となっています。 沢沿いの小さな崩壊から発生する土砂を、余裕を持って流下させています。

最近「天狗橋」付近で、30 数年ぶりに土砂の浚渫を行いました。