リニアと住民自治(岐阜県恵那市)

奥村 正志さんが4月29日にリニアを考えよう!コミュニティに投稿した文書(元の文書のアドレスはここ)。非常に重要なこととと思うので紹介(無断転載)しておきます。

岐阜県恵那市大井町の野畑地区は、このまま進めば集団的な立ち退き家屋が発生するという、リニア予定線でも稀有な地域。

まともな説明もせず住民の不安に応えようとしないJR東海に対して、隣接する町内の2地区とともに中央線測量をさせない、として来た「対策委員会」が方針を変更。一転して中央線測量(=センター杭打ち)を受け入れる、と言い始めた。

4月28日に大井町3地区の対策委員会が合同会議を開く、というので地区の一住民として傍聴したいと考えた。

前夜に対策委員長宅(面識あるご近所、同じ自治会の隣の班)に電話すると本人はお留守で、時間と場所を教えてほしいという用件を伝えると、市役所に聞けばいいと思うよ、とのこと。

28日の朝、恵那市役所のリニア対策・まちづくり課に電話すると「教えられない、会長に聞いてくれ」の一点張り。理由は、と聞くと「住民団体の会議だから」。課長は出席するはずなんだから時間と行き先を教えてほしい、というとこれも「教えられない」。

対策委員長の携帯に電話して「傍聴したいので時間と場所を」というと「傍聴は認めない」「法的に条例上の会議ではないので傍聴を受け入れる義務はない」と。

市議会議員も正規メンバーとして出席しているはずなので、内容について知る方法がないではないが、まず間違いなく録音・録画はもとより議事録も公表云々以前に取られてもいないだろう。

質問状

奥村 正志・2016年3月17日

大井町第7区・第8区リニア対策委員会 様

2016年 3月 17日

野畑二組4班 奥村正志

自治会期末総会の案内に添付して回覧された2月8日付の『大井町第7区・第8区のリニア問題に関する「今後の進め方」について(報告)』(以下「2/8報告」とする)について質問がありますので、質問する理由及び私の意見、要望も添えて文書にいたします。自治会総会の席上での回答を含め、よろしくお取り扱いいただくようお願いいたします。

1 文書の性格と形式について

1.1「2/8報告」は「報告」となっていますが、本来は自治会員にも諮ってから決すべきものであって既決事項を通知する際の用語である「報告」というのは不適切ではありませんか?

1.2「2/8報告」の主文は議論された内容を報告する、という形式ですが「記」以下特に2項後段以降は、内容紹介というより結論・意思であるように理解できますが、それが本意ですか?

1.3 「2/8報告」が既決事項の通知のための事後の「報告」であるとするなら、決定に至った経緯とともに決定された機関とその構成員などを含め詳細をお示しいただくようお願いいたします。

1.4 「2/8報告」は野畑二組の自治会員に回覧されたものですが、このような重要な内容の情報が「配布」ではなく「回覧」されることが疑問です。事柄の当事者である野畑二組の自治会員にとっては市の広報よりもはるかに重要なものです。@なぜ「回覧」でよしとされのか、A誰がそれを決めたのか、B費用を対策委員会、自治会、行政を含めて賄う検討はなされなかったのか、についてお示しください。

1.5. 「2/8報告」は野畑二組の自治会員に回覧され、その総会でも報告されるものとされていますが、周辺の@他の自治会所属の会員、A自治会未加入の世帯、B土地所有者など非居住の関係者への告知等はどのようにされていますか?

2 「2/8報告」は1項において大井町三地区の統一歩調を確認し、2項前段では4県の連携を述べながら、2項後段でいきなり飛躍して『…中略…対策委員会は「中心線測量」を実施(受け入れ、の誤りだと思われますが)する』と記述しています。論理の飛躍はともかく、この2項後段以降が「2/8報告」の眼目にほかなりませんから、その意図と内容について質問します。

2.1 この方針は、要するに統一歩調、共同対処、連携からの離脱ですか?

2.2. 離脱することによる利点は何ですか?

2.3. デメリットとして挙げるべき事項はないのですか?

2.4 得失の比較考量はどのように検討されましたか?

2.5 この方針は、岡瀬沢地区をはじめ他の地域からの理解や了承を得たものですか?

2.6 3地区以外の長島町乗越、武並町藤など市内の他地域との連携のご意志がありますか?

2.7 中津川市や可児市をはじめ他県を含めた市外の地域との連携のご意志ががありますか?

3 中心線測量は@事業を進行させる上で不可欠の行程で、A事業者であるJR東海が自身の責任で行わなければなりません。一方で、Bこの作業は土地所有者の理解と、土地への立ち入り許可を得ないでは一歩も進めることができません。しかし、C巨大組織の前では個々人はあまりも無力だから、D自治会をはじめとして住民が一丸となって対処すべきものなのだ、と理解しています。また、国家的な巨大プロジェクトにおいて、E事業主体であるJR東海は中心線測量という発注者としての責任行程の終了後は、事実上すべての対住民折衝事項を下請けに「丸投げ」し、用地買収から工事騒音に至るすべての事柄の責任ある当事者であることを合法的に回避できます。言い換えれば、F私たち当事者に対してJR東海に直接説明をさせるために担保に取れる、最初で最後、ほぼ唯一の機会です。

G中心線測量を受け入れるかどうかは究極的には該当する土地所有者・地権者個人の判断であることは自明です。しかし、Hリニア事業によって被害を被る可能性があるのは地権者だけでないことも明らかです。だからこそ、リニア対策委員会は自治会をはじめとした住民全体を代表して、共同で、歩調を整えて進んで来られたのだと思います。

3.1 上記@からHに至る認識に誤りや委員会のご認識との相違があればお示しください。

3.2 複数の地権者に中心線測量への協力をしないことを依頼する文書を送られた経緯および趣旨と、その後の取り扱いをお示しください。

4 リニアは既に山梨県で走行試験を繰り返しています。@地上走行部分の騒音・振動など五感で感じる被害を理解することは近くに身を置いてみることが一番の早道です。地面スレスレの半地下走行部分は当地・野畑以外にはどこにも無いので同じ条件での体験は不可能ですが、Aトンネルの出入り口付近や橋梁部分など類似の環境の中で状況を体験する事で得られものは重要です。B恵那市では住民の求めに応じて市からバスを出して山梨県の試験走行地域の視察をいつでも行うとしており、C岡瀬沢地区からは既に数度に渡って住民が現地視察に行っています。しかし、私個人は、こうした視察の案内は一度も受けていません。少なくとも複数回の現地視察を経てはじめて、何メートル離れると何デシベルといった予測数値(それさえも説明を受けた覚えが無いのですが…)の実感が得られるのではないでしょうか。あらゆる判断の前提だと思うのです。

4.1 上記@からCの認識に誤りや委員会のご認識との相違があればお示しください。

4.2 当地区で現地視察の案内がされましたか?

4.3 第7区・第8区リニア対策委員会が現地視察を組織されない理由は?

4.4 今後現地視察を組織されますか?

4.5 現地視察後に地域としての対処方針を議論することはできませんか?

5 野畑二組の自治会総会は、年度替わりの審議・議決事項がたくさんあって重要な会議です。同時に「2/8報告」の内容は、その一部の時間に「報告」されて済むものだとは思われません。あらかじめ全戸に配布された資料と討議すべき課題を明示した上で、別に時間を取って議論すべきだと考えます。また、近隣の他の自治会でも同様に機会が設けられ、相互に傍聴が可能な設定があることが望ましいと思います。対策委員会にも各自治会の新役員にもご検討いただきたいと思います。子々孫々の生活が懸かる問題なのですから、悔いなく進めていきたいと思うのです。

(2016/05/03)