藻谷浩介氏の講演会
- 交通の便がよくなれば活性化するという訳ではない
- 残土を谷に置けば災害の心配
飯田市の龍江公民館で藻谷浩介氏の講演会。テーマは「田舎だからこそできること・龍江だからこそできること」。聴講に来た牧野飯田市長やリニア批判の橋山禮治郎氏と同じく、藻谷氏も開発銀行のOB。リニアについては北条のような郊外ではなくて市中心部に駅をもって来なければ意味がないと言っていたと記憶しています。
地域の活性化にとって、交通の便利さは関係ない
地域の活性化にとって、交通が便利な事、工場が増えること、好景気になることは、実際ほとんど関係ないという話でした。人口構成で言えば、若者が戻ってきて子どもがうまれ続けることが肝心だそうで、全体の人口は減っても、7000万人程度でダメになるというのではなく食料自給などではむしろ有利とのこと。日本経済はもはや成長よりは成熟しなくてはとも。リニアという言葉はほとんど出ず、話の全体からいえばリニアが地域の活性化に必要なんてことは話されなかったです。考えてみれば当たり前です。リニアの沿線以外の地域だって活性化したいと考えているんですから。
ありえない「輝く東京と輝くリニア」
テレビ番組をつくっているのは、東京生まれの東京育ちでいい学校を出た人々。日本各地の本当の姿など知らないそうです。テレビが伝える社会のイメージには間違っているものがたくさんあるそうです。たとえば、長野県の空き家率は全国で2番ですが、空き家の数が一番多いのは東京。社会的にも経済的にも問題を生じる可能性があるのは東京。東京だけが人口が増えているという実態は、東京の人口が増えているのは高齢者。かって大量に引き寄せた若者たちが時間がたって年寄りになってきた。一方、子育てに適していない東京では子供が生まれない。人口については一極集中が続いているわけではないなど・・・。
田舎の我々は光り輝く東京と短時間で直結することにリニアの価値を見出しているのではないでしょうか。東京の未来が田舎の我々が考えているほど光り輝いたものじゃないという指摘からしてもリニアはこれからの日本にとって価値のあるのものではないといえます。当然、飯田下伊那にとっても。
もと飯田市職員で高野町で活躍された高橋寛治さんも来ていました。最後に挨拶を予定外にリクエストされた市長、講演内容については一言も触れませんでした。
会場へ行く途中、リニアの残土が置かれる予定と言われている飯田市下久堅小林の谷を見てきましたが、安全性を考えなければ、このあたりだけでほとんどの残土を処理できるのではないかと思いました。リニアの効果があると固く信じている人の大半は飯田市の市民なのですから、飯田下伊那で発生するリニアの残土はすべて飯田市が引き受けるべきじゃありませんか?
おまけとしてNHKの報道。
地域活性化テーマに講演会
リニア中央新幹線の開業に向け、県内で唯一の駅ができる飯田市で、地域の活性化について考える講演会が開かれました。
この講演会は、飯田市龍江地区の自治会が開き、およそ200人が参加しました。 講師を務めたのは、人口問題に詳しい日本総合研究所の藻谷浩介さんです。 リニア中央新幹線の駅ができる予定で、三遠南信自動車道の開通も控えた飯田市が今後取るべき方向について話しました。
この中で藻谷さんは、大都市で高齢者の急増が課題になっている一方、飯田市ではそのペースが大都市よりは緩やかなため、その分、子育てにお金を回すことができ活性化のチャンスだと訴えました。 そのうえで、「交通の便がよくなれば活性化するという訳ではない。 地産地消を積極的に進め、観光客に特産をアピールして地域に落ちるお金を増やせば、雇用も新たにつくられ若者の増加にもつながる」と述べました。 参加した57歳の男性は、「リニアや道路に頼るだけではいけないので、地域のみんなで今後を見つめ直すうえで、参考になった」と話していました。
09月12日 06時36分
「交通の便がよくなれば活性化するという訳ではない」は私の聞き違いじゃないようです。
地域にとってデメリットばかりが目立つリニア。最大のデメリットはトンネル残土。残土の置き場は龍江地区の番入寺(ばんにゅうじ)にも予定されています。こんな講演会のあと残土置場の計画が具体化した時、竜江の住民はどういう反応をするのでしょうか?
(2016/09/12)