下久堅と龍江の残土置き場を見学
"これまでもゴミを谷に捨ててきたんだからどうってことない"
写真1 下久堅・小林
9月30日、飯田市議会議員の共産党の議員さんが計画した視察に混ぜてもらって飯田市内の下久堅と龍江の残土置き場の候補地を見てきました。現地の住民のお話を聞いたり、同行してくださった地質学者の松島信幸さんと「全国・水の相談所」代表の桂川雅信さんの説明を聞きました。
写真2 龍江・清水川沢
下久堅の「でんだ沢」は過去にあった土石流の痕跡もあり、直下に民家があるという条件でした。龍江の清水川沢の場合も下流域には集落があるという条件で、どちらも住民たちの強い反対にあってJR東海が残土の埋め立てを断念した豊丘村の源道地の沢と同様です。
※ 参考
現在JR東海が飯田下伊那で候補地としている場所はどこも似たり寄ったりで、安全に残土を捨てれる場所はないといえます。
ところで、JR東海はトンネル掘削で出てくる「発生土」は有用な建設資材と呼んで公共事業に活かして欲しいということで長野県に取りまとめを依頼しました。長野県は次のような文書を関係自治体などに出しています。
赤線を引いた部分、「建設発生土の活用先が見つからない場合、最終的には窪地や谷を埋め立てたりする処分地を確保する必要があります」と書いてあります。つまり、リニアで出てくる建設発生残土は「ゴミ」なのです。最初に「民間事業等での活用予定について」と印刷しておいて「埋め立ての見込み」と訂正しているのがわかるでしょうか。後に出された文書では次のようになっています。
「民間事業等での活用」についていえば、こういう埋立地はやはり安全性の問題から「活用」できる例はすくなく、山梨県は中央高速の境川SA付近のリニア実験線の残土置き場は、最初住宅地開発を目論んでいたようですが、ここの場合は活断層があって安全性から、現在も何も使われていません(参考)。結局ほとんど場合は実態はゴミ捨て場なのです。
もう一つ、最終処分地としては「谷」、「沢」という名前が「窪地」という言葉とともに使われています。しかし、現在候補地として挙がっている場所はほとんどすべて「沢」か「谷」であるのに、JR東海も長野県も「窪地」と呼んでいるのです。なぜなんでしょうか?
結局、リニアは、従来の鉄道のように事業計画のなかで残土を消費しきれないのです。そういう点でも非常に非効率な乗り物と言えます。各家庭で分別収集など手間のかかることをしているゴミ処理。環境重視の時代に膨大なゴミをだすリニアは似合わないと思います。
残土候補地の取り下げを審議した豊丘議会の本会議では、残土を置いても良いという討論のなかで、これまでもゴミを谷に捨ててきたんだからどうってことないじゃないかとまでいった村会議員がいましたが、そんな感じですね。JR東海と長野県のリニア推進部の考え方は。
(2016/10/01)