リニア技術の問題点(「東濃リニア通信」へのリンク)
リニアの問題点は、いろいろあるのですが、大量輸送機関の鉄道としての技術的な問題点について「東濃リニア通信」に興味深いページがあったのを思い出したので(自分が)忘れないようにリンクしておきます。
中でも2015年11月4日に「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」が開いたで「ストップ・リニア!訴訟キックオフ集会」での武蔵野大学工学部教授の阿部修治さんの講演の要点をまとめた文書(レジメ)は是非読んでほしいです。ガイドウェイ方式は鉄と車輪とレールの方式より危ないという指摘に注目。
列車の方向を決めることを「案内」といいますが、「案内」をするのはリニアではガイドウェイ、従来の鉄道ではレールと鉄の車輪です。リニアではガイドウェイと車体が「重なる」部分が約1.3mあります。従来の鉄道ではレールと車輪のツバ(フランジ)が約4㎝が「重なる」だけで車体そのものは「重なる」ことはありません。
山梨県立リニア見学館の実物展示
飯田市扇町公園のD51型蒸気機関車
リニアの車体は軽量化のため従来の鉄道よりは強度が低いはず。「何か」あれば車体がガイドウェイとすぐに衝突します。従来の鉄道ではリニアより丈夫な車体ですが、車体とレールが衝突することはありません。
「何か」というのは、分岐器の切り替えミスや故障とか列車が座屈した場合。
なお、阿部さんのレジメに最近の列車事故4例の表に注目。尼崎の事故は、他と比べスピードが遅いのに死者数が一番で負傷者数もとびぬけて多いです。日本の鉄道だってまだまだいろいろな問題があると思うべきだと思います。リニアどころではない。
(2016/10/05)
補足 2016/10/17
(1) リニア新幹線は連接台車を採用しています。ゆえに列車の座屈は起こりにくいということもあるかもしれません。しかし、座屈というのは、細長い形の物は引っ張る力に対しては目いっぱいの強度があるけれど、両端から押し縮める力が加わったときには壊れやすいという性質です(座屈とは)。鉄道の列車では各車両に2つの台車があって(上の「図4」の左側)、連結器部分は非常に曲がりやすくなっています。連接台車は連結部分に台車がくるので、「横方向の複合振動が起きない」という特徴があるそうですが、座屈の原則は「細長い物は圧縮力に弱い」という幾何学的な説明がつくものなので、連接台車の採用で座屈が防げるものではないと思います。なお、「横方向の複合振動」については、鉄道ライターの川島令三氏が山梨実験線で試乗したときの感想として「蛇行動」が起きているといっています。蛇行動は乗り心地を左右し最悪の場合事故につながるものです。
(2) 2013年7月24日にスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラで高速列車がカーブの速度超過で脱線転覆し約80名の死者が出た事故がありました。この列車「アルビア」はレンフェ130系または730系と呼ばれ、前後の動力車以外の中間の客車同士は連接台車方式で連結しています。CNN掲載の事故現場写真を見ると列車が「くの字」に折れ曲がっているのがわかります。掲載されている最初の写真は、おそらく最後尾の動力車から2両目の客車と3両目の客車の間です。
(3) ロイターの「焦点:スペイン列車脱線、速度超過はなぜ起きたのか」によれば、「車両の1つは衝撃によって、線路から数メートル上の土手まで飛ばされた。」と書かれていて、次のような写真がのっています。線路わきの擁壁の高さはリニアのガイドウェイよりはるかに高いようです。衝突時のスピードは時速約160㎞。リニアは3倍速い時速500㎞。約1.3mのガイドウェイを飛び越さない保証はないし、高架部から落下すれば4m幅の緩衝帯など容易に飛び越します。リニアは衝突事故を起こせば周辺住民の生命や財産に危険が及びます。