10万と130万、どちらが大きいか?

 10万は虻川の日向山ダム(砂防ダム)の計画貯砂量(m3、立米)です(参考)。このダムの完成は平成21年3月だそうです。ダムより上流の砂を貯めていっていずれは満杯になるはずですが、今のところ水面が広がってダム湖ができています。紅葉の名所らしいです。

 130万は虻川の支流のサースケ洞の最上部に盛土されるリニア新幹線の伊那山地トンネル工事で出てくる残土の量です。JR東海はこの残土の盛土は安全だといっていますが、絶対に崩れないということはないのですから、この土砂が崩れて流出したときのことを考えなければならないと思います。いってみれば始めから満杯の砂防ダムを作るようなものですが、残土の盛土は砂防ダムより弱いはずです。より下流に新たな砂防ダムを造らないといけません。グーグルアースなんかで見ると日向山ダムは結構目立ちます。しかし、これで計画貯砂量は10万m3!。

 10万m3と130万m3。どちらが大きいかなんてことは、すぐわかりますね。

 10万m3の計画貯砂量の日向山ダムより上流の流域とトンネル残土置き場より下流とどちらが大きいでしょうか。(参考図)

 下伊那地方で、谷に何十万m3もの残土を埋め立てるようなことが想定されて治山治水が行われてきたでしょうか?

 リニア新幹線はスピードのために、ほぼ直線状にルートが決められています。したがってトンネル部分が全線の86パーセントにもなります。

 昔の鉄道は、等高線に沿って、トンネルとか掘割など土が出るところと、川を渡る部分や低い部分で土が必要なところのバランスがとれるように路線を決定したそうです。もちろん土木機械が未発達だったこともあります。リニアのトンネル残土を、リニア計画の中ではもちろん、沿線周辺でも有効活用できる土木工事などありようがないでしょう。トンネルを掘削できなければリニアは出来ません。残土の問題が解決できなければトンネルは掘れません。

 だからこそ、国交省の工事認可まえの環境大臣意見は、廃棄物の筆頭にトンネル残土をとりあげ、「環境の保全を内部化しない技術に未来はない」と特にいっているのだと思います。また最大限の対策をしても、なお環境負荷は非常に大きいといっています。

 日本では、リニア建設は根本的に無理があるのです。リニアの開発は1962年からはじまりました。スピード第一という発想、磁気浮上式鉄道という発想は結局1950年代以前の古い考え方だといえます。なんの反省もなく50年以上にわたって無駄な研究開発をしてきたという見方もできるはず。JR東海は鉄道事業者として沽券にかけても実現しようと固執しているように見えます。

(2017/03/16)

 上の方で参考図を紹介しました。この図で、虻川の鬼面山の直下付近の源流(A)から、残土置き場(B)、サースケ洞(C)、天竜川出口(D)まで野田平や坂島へ迂回する部分をのぞいて、虻川の流れ、サースケ洞の谷筋が直線状になっています。なぜでしょうか?


(2017/03/18)