飯田線とリニアルート

 リニアルートが飯田線と交差する場所に、昔の鉄道建設工事のやり方がわかる場所があります。元善光寺駅から伊那上郷駅に向かって段丘を登る区間の途中です。だいたい等高線に沿っていますがかなり勾配がきつい区間です。終戦直後の電力事情の悪いころには坂をのぼって行く電車が途中で止まってしまったことがあったと聞いています。この盛土(築堤)の工事をしたのはJR東海や国鉄ではなく、多分伊那電気鉄道の時代です。


写真1 (この図に撮影位置を示しています)

 画面左が伊那上郷駅方向。この列車は坂を下って、これから切通し部分に入るところです。青い屋根の向こう側を新戸川が流れています。伊那上郷方面も切通しです。「盛土」と書いた部分で新戸川の谷を渡っています。


写真2

 反対方向から見たところです。伊那上郷駅までの間には切通しだけでなく飯沼神社の下を通るトンネルもあるので、この盛土(築堤)の材料はそのあたりから調達したのだろうと思います。


写真3

 川は暗渠になっています。幅約1.5m、高さは1.8mあるかないかぐらいです。


写真4 <暗渠部分の拡大写真

 上流から見たところ。飯田線の盛土(築堤)がダムみたいになっていますね。


写真5

 線路脇から上流を見ると、砂防堰堤(下向き矢印)が見えます。「平成12年度 復旧治山事業 第41号工事 本堤工(コンクリート) H=6.0m 飯田市字新戸川地内 長野県林務部」と木目の銘板が取り付けてありました。このダムの下流側に小さな砂だめ(左横向き矢印)もあります。

 この場所は、リニアの中間駅の西の端になり、ここから妙琴原で松川を渡河するところまではトンネルになります。現在の新戸川は中間駅部分でルートの中心線(オレンジ色の丸部分)を流れています。駅の天井の高さだそうです。川の流路を変更する工事が必要なので移転対象が出てきます。この辺りに残る方たちも10数年続く工事で大変です。始めの計画と違って、シールド工法のトンネルはここから掘り始めるので残土をどうやって運び出すのかも大問題です。

(2017/03/21)