飯田市議選候補へのアンケート
飯田市議会の議員選挙の投票日は4月16日です。市議選に関連して『南信州』と『信濃毎日新聞』が候補者にアンケートをしました。住民の組織や団体がアンケートをするというのはどうなんでしょうか?って、実は「飯田リニアを考える会」がリニア関連で候補者にアンケートをしています。
リニア中央新幹線についてのアンケート結果(飯田リニアを考える会)
例えば、「選挙ナビ - 選挙に役立つ情報サイト」はいろいろな方面からのアンケートに「候補者」はどう対応すべきか書いています。
立候補を表明すると、テレビ局や新聞社などさまざまなところから候補者の経歴や政策についてのアンケートを依頼する書類が届きます。
あいさつ回りや、選挙の準備で忙しいからといって、無視したり、アンケートにいい加減に答えたり、提出期限を過ぎて提出していたら、候補者の印象・イメージが損なわれます。
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特に、アンケート類は地元でかかえている大きな問題等に関する内容が含まれている場合が多いので、陣営でよく話し合ってから記入するようにした方がいいと思います。
当選したいなら、つべこべ言わずに、ともかく回答すべきといっているのは間違いありません。
選挙も民主主義のための一つの制度ですから当たり前のことですね。「会としての公式見解」、つまり「判決」は「飯田リニアを考える会」で見ていただくとして、このアンケートに若干の関わりを持ったものとして私見を述べます。
少ない回答
期限内に帰ってきた回答は25分の7(28%)です。どの候補へも郵送で質問用紙を送付しています。郵便局から宛先の不備などで戻って来たものはありませんでした。つまり約7割の候補や選挙事務所関係者は上記「選挙ナビ」に書かれている「常識」がないことになります。候補者と有権者は、支配者と被支配者という関係ではありません。対等の関係です。ですが、一般的に言うなら、少なくとも選挙期間だけは、候補者は有権者に「お願い」する立場ということがわかっていない。地方議会の議員さんは自分は「ちょっとした権力者」という気持ちがあるのかも知れません。まあ、どこかの町議さんのように気にくわないことをする住民の身辺調査をしたり、車で跳ね飛ばすぞみたいな脅しはなかったことは、付け加えておきましょう。
回答しない理由
回答しない理由をコメントされた方が2名いました。
◎ 問いたい気持は解りますが、これでは候補者を追詰めるだけでは?このアンケートで立候補者の白黒を付けることは新たな分断線を引き、二者択一の抜き差しならぬことに発展するのではないか。議会の中でさえ接点を失うのでは、私は両者歩み寄りの場面を作るべきではないかと思います。市民への問い掛けは?ノーコメントを装う市民の本音をこそ聞き出す努力をして欲しいです。反対の声が大きくならないアセリは分かりますが・・・。
◎ リニアという大事業でかつ影響の幅広いものに対して、回答の選択肢の幅が狭く、このアンケートでは、答えようがありません。悪しからずご了承ください。(期限外回答)
有権者が投票する候補者を選ぶとき、候補者が選挙期間に一方的に訴える主張だけでなく、この人はこの問題についてどう考えているのだろうと聞きたくなるのは当たり前です。もちろん、有権者の尺度で。つまり、アンケートの質問内容や選択肢を決めるのは有権者です。候補者が答えにくい質問だから答えないというのは、民主主義がわかっていないのではありませんか? 報道機関の候補者が答えやすい甘口な質問とは違う、住民の自由な発想の候補者にとっては厳しい内容のアンケートには応えられないでは困りますね。
議員と言うのは議会で討論をするのが仕事で、名誉職やアルバイトじゃありません。はっきり反対意見を言える意志、論理的な議論の組み立てができる力量を持たない議員は不要です。また、自分の考えを支持者に納得させる力量も必要です。あれを言っては選挙に不利になるなどと考えているようではダメだと思います。
「わからない」の意味
設問には「わからない」という選択肢を設けました。答えやすようにと思ったのに、多くの候補者はバカにされたと感じられたのでしょうか。はっきりした見解を持てないという証にはなりますが、住民が議員さんのプライドについて「忖度」する必要がありますか? まあ、「わからない」と答えずに済む努力はすべきでしょうね。
宛名は正確に
じつはある候補者へのあて名書きで名前の漢字が間違っていました。この方は、回答用紙の氏名欄の間違った部分をさらりと訂正しただけで、そのことでどうのこうのということは書いておられません。リニアに賛成の方ですが、立候補するということの重みのようなものについて自覚のある方であることが察せられました。感服しました。
住民不在で進んでいるという点では一致
質問9.「リニアの誘致運動は市民のすべてが納得できる形で進められてきたとお考えですか?」について、は回答者の6人すべてが「いいえ」と答えています。質問4の「移転対象者に対する、飯田市や JR 東海の対応について」も5名が「不十分」と答えています。一応きちんとした政治感覚を持たれていると察せられる候補者はリニア計画が住民不在のまま進められてきたし、現在も同様であるとみています。民主主義的な段取りはすべてクリアして工事認可されたように見えるのですが、実はそうではなかったからだと思います。「そこのけそこのけ、お馬が通る」という気持ちを住民に抱かせていることを一部の候補者でありますが、心得ていることは救いだと思います。
メリットとデメリット
質問1.「リニア新幹線は飯田市民にとって、メリットとデメリットのどちらが大きいとお考えですか?」については、デメリットが大が4、メリットが大が2。
飯田線の乗換駅
リニア賛成の方でも飯田線の乗換駅には反対と答えた方がいます。利便性という問題より以前の、鉄道の技術的の問題として乗換駅の予定される場所は傾斜があって安全な駅ができないという問題があります。地域の住民も以前から主張していますが、既存の元善光寺駅との間にバスを運行(現在付近を運行している路線もあり、路線を一部変えるだけで済みます)すれば、解決できる問題です。元善光寺の観光ルートという点でもその方が良いはずです。行政の飯田線の新駅新設のアイデアは本当に「おバカ」というしかありません。
トンネル発生土
質問6.「・・・発生土を谷に盛土することになりますが、下流域では災害を懸念する住民も少なくありません。谷に発生土を置くことについてどうお考えですか?」に対しては、反対が3。「わからない」、「賛成」の回答にはコメントが添えられていました。それは、「120%の安全対策を前提として賛成」と「技術的な考察を専門家にききたい」。私たちやリニアを心配する人たちが行ってきた学習会の中で、専門家たちは、120%の安全対策と言うものはあり得ないし、アブナイものだといっているのが現実です。これら2人の回答者もJR東海の言う安全性について全面的に信じているわけでないように思います。
リニアストップ行政訴訟
リニアストップ行政訴訟(正式には"ストップ・リニア!訴訟")については無回答以外の回答は「知っている」でした。訴訟の原告グループに入っている者としては、まずは、「良かったね」です。が、じつは、質問項目に入れるのを最後まで忘れていたりして。しかし、こういう質問にも「無回答」というのはどういう神経をしているのでしょうか?もっと一般平民の感覚というものを考えるべきですね。
賛成・反対以前の問題として
リニア計画に賛成・反対以前の問題として、現状の飯田市議会で、そして選挙後の議会において、リニアに限らずいろいろな住民の暮らしにかかわる問題についてまじめな議論をしていただくには、大半の議員さんの政治感覚が民主主義の本旨、地方自治の本旨というものと照らしてみるとはなはだ心細いものと思いました。民主主義の本旨、地方自治の本旨は基本的人権を守るためのものなのです。
(2017/04/15)