「リニア駅周辺整備に関する市民説明会」と「リニア駅VR体験会」


 5月14日に飯田市の中央公民館で「リニア駅VR体験会」(13時~17時)と「リニア駅周辺整備に関する市民説明会」(18時から)がありました。

「リニア駅VR体験会」

 「リニア駅VR体験会」はリニアの駅や周辺を立体的に体験できる動画を市民に見せるもよおし。動画はコンピュータ技術など学んでいるコアカレッジの学生と神稲建設が開発。画面中央右のゴーグルをかけた人が「体験者」。神稲建設の社員さんの説明では中央奥のテレビ画面のような画像が立体的に見えているということでした。体験してみた人は体が宙に浮いているような奇妙な感じがしたといっていました。


 手にした器具を動かして視角をかえたり、スイッチを押すたびに前進するように見える仕組みになっているようでした。外から見る体験者の動きはなにか不気味。




 体に似合わぬか細い声は、まさかの牧野飯田市長さんでした。

 大きなテレビには駅周辺の様子のコンピュータで作成したアニメーションが上映されていました。

 その一コマ。このアニメに添景として使われた自動車は BMW 。軽四輪なんか出てきません。このアニメをみて何人かが随分大きなものができるんだなあといっていました。飯田市としてはコンパクトにと考えたはずなのに。


 神稲建設の車は電気自動車。でもこの止め方は道交法違反だよ。


「リニア駅周辺整備に関する市民説明会」

 前半は佐藤副市長による「リニア駅周辺整備基本計画(案)」の説明。5月10日にこの案についてのパブリックコメントを締め切ったばかりで、その紹介をするには時間がないわけで、同じような説明は1月19日にやっているし、今回はVR体験会場で流していた駅周辺のアニメーションの上映が目玉。リンゴで作るお酒「シードル」をやっている後藤高一さん、遠山ジンギスの鈴木屋の鈴木志保さん、ふれあい農園おおたの太田いく子さん、佐藤副市長の4人によるパネルディスカッションがありました。コーディネーターって、意味は良く分からないんですが、進行役は日本経済研究所の大西達也さん。3人は「交流人口」が拡大した例の代表として参加されていたんですが、多分、まだ「リニアは来ていない時代」の話です。リニアが来てから同じことをやってもダメなわけで、3人の中にもリニアが来ればもっと努力をしなければとの発言をされた人がいました。


 会場は空席が目立ちました。実は手前の通路から上半分の席は着席禁止。参加者を多く見せる小細工です(※)。この公民館はほとんど駐車場がありません。車利用の参加者は有料の市営駐車場を使うか、無料なら約700m、徒歩で10分離れた長野県合同庁舎の駐車場を使うしかありません。駐車料金は400円でした。こういう説明会に駐車料金を払ってまで参加しようと考える市民は非常に少ないし、駅周辺整備で移転対象や被害を被る人たちは、こういう浮ついた説明会に来るはずもない。いや来ていたかも知れないですが、腹が煮えくり返る思いだったでしょう。

※ 同じ会場で上半分も着席した、1月19日の「リニア駅周辺整備に関する市民説明会」のときはこんな感じ。前半の隈研吾さんの講演が終わったら人数がぐっと減りました。新しくできるリニアについて市民の多くは期待や関心を持っていないことのあらわれかなと思いました。(2017/05/15、補足)

 質問をした人が3名いました。2名は佐藤副市長とはおなじみの方。結局、東京へ速くいければ、コンサートや展覧会を見るのに便利だという話。リニアができても、高速バスは残るでしょうね。運賃が安いから。さて、いまだにリニアと飯田線の交点に乗換駅を造れといっている人がいるとは驚きました。今計画されているのは、リニア駅の入口から300m、多分飯田線との交点の方が遠いです。北条地区の前のまちづくり委員会の委員長が参加していましたが発言はしませんでした。


 リニアの駅は路線が高架部分にあるので、ホームにあたる部分へ階段などでのぼるしかないので、改札口と交点の間の距離が問題になります。リニアに期待を寄せる人たちって、このことに限らず、現実がよく見えていないんじゃありませんか。

 お開きになって帰ろうとしたら、駐車場へ降りる階段の足元が真っ暗です。飯田市は、リニア駅周辺整備よりは、こういう場所の安全対策をするべきだと思いました。


さて、この人は誰でしょうか?

(2017/05/15)

補足

  「南信リニア通信」では環境影響評価の景観についての評価で使われたフォトモンタージュについていろいろと書いています(参考)。簡単にいえば、リニアが来ると風景がこんな風になりますよというのを、写真に高架橋などを書き込んで示したのがフォトモンタージュ。今回飯田市のVR(バーチャルリアリティー)より簡単に作成できるはずです。路線の近くの住民はどんなものができるのか心配しているわけです。しかし、JR東海がやったのは16か所だけでした。それも、非常に問題のあるものばかり。「飯田市」と「広域連合」は、コアカレッジや神稲建設に、住民が希望する場所のフォトモンタージュをつくってもらったらよいと思います。

(2017/05/16)