「夢のリニア」、「リニアは悲願」 ~~ リニア特区
豊丘村の本山の残土置場の候補地は、地権者の本山生産森林組合が残土の受け入れを決定しましたが、組合の組織運営に違法・不正があったため、長野県は受け入れの決定を無効としました。現在、組合の立て直し中ですが、12日の豊丘村村議会の予算決算委員会に、この組合の立て直しについて村がお金を出す提案が村から出され、反対3、棄権1、賛成8で採択されました。
○ (『信毎』13日要旨) 豊丘村の本山生産森林組合の問題で長野県は菅沼康臣副村長を「一時理事」に選任、12日の村議会予算決算委で村は本山生産森林組合へ70万円の補助すると説明。正しく選出されなかった(現状の)理事の抹消登記の後、一時理事を登記しなおす。その後正式な総会を開き新理事を決める。抹消には組合員が組合を相手に提訴して、理事の選任の不適切を証明する必要があり、村は裁判費用等を一部負担する。予算決算委では12人中8人の賛成。19日が本会議。"ただ村側は、残土処分計画地を使用するための同意手続きが再開する時期について「全く未定」としている。"
記事にあるように、提訴するのは組合員です。相手は組合。この件について村は何の関係もありません。本山生産森林組合は村とはもともと関係ない組織ですから、公費を出費するにはきちんとした説明が必要です。改めて言うと、村は提訴しようとするいわば私人の立場の組合員に村費を差し上げるということ。さらに、豊丘村内にある7つの生産森林組合のすべてが同様の杜撰な運営をしてきたともいわれますから、他の組合に対しても同じような村費の支出を求める声がでるはずです。まあ、豊丘村はふるさと納税でお金が沢山あるので、多少、もとい、かなりいかがわしかったり、無駄な支出について村民は寛大なのかもしれません。
おそらく、下平村長はじめ役場が「リニア命」なのでこういう提案が出てきたのだと思います。この候補地の県への申請には組織決定の必要はないから(※)、長野県が組合の残土受け入れの決定を無効としても、候補地自体は生きていると頑張っている下平村長の考え方にしても、「夢のリニア」、「リニアは悲願」という洗脳が広くきいているからなのかもね。
※ ホントの意味は、県は情報提供は役場内の担当職員が頭に浮かんだものでいいから教えてね、地権者や周辺の住民に相談しなくてもいいからね、当然、情報を上げたからって言って残土受け入れの義務はありませんよというのを、下平村長は捻じ曲げて言っているです。
さて、対岸の高森町は1月には町長選挙。今回はおめでたく、熊谷町長の正統の後継、元経営企画課長M氏の無投票当選がほぼ決まった形勢です。高森町では下市田河原にリニアのガイドウェイの組み立てヤードができる予定です。議会にも相談もなく、M氏と熊谷町長の独断で申請したものと思っている人が多いのです。
リニアはJR東海という民間企業が行う事業です。ゆえに、優良農地であるヤード予定地は農地転用がちょっと難しい。そこで高森町が考えたやり方は、ヤード用地の造成は高森町の事業として「公共事業」ということにするということです。ということは、リニアは全幹法に基づいて認可されたにも関わらず、「公共事業」ではない、公共性がないということのはず。しかし、M氏や熊谷町長はじめ役場が「リニア命」なのでこういう小細工を考え付いたのだろうと思います。リニア反対論に対して、昔から皆が望んできたことなのだから程度の反論しかできない熊谷町長の考え方にしても、「夢のリニア」、「リニアは悲願」という洗脳が広くきいているからなのかもね。
費用はJR東海持ちで、町の行うべき事業としてどういう名目で高森町は用地の造成を行うのでしょうか。出費を伴わなければ何をやってもいいのでしょうか?こういうのは名義貸しとか、自動車の工場出荷時の無資格者による完成検査に近いと思います。JR東海と町の間の造成費用のやり取りはどういう形で行うのでしょうか?
豊丘村の村費出費はかなりかなり違法に近くヤバイやり方ではないかと存じますよ。また、豊丘村長のおもわく通りことが運んだとしても裁判に最低6か月はかかるそうですから、リニアの工期は1年以上遅れることは確実です。
ガイドウェイヤードに関連して町道の拡幅工事も行われるのですが、この費用はJR東海が出すのでしょうか? この道路の改良区間の北の端は明神橋の西で、流行りの「ラウンドアバウト」を設置する計画があります。この明神橋西の交差点は、警察に言わせると信号機を付けるほどの交通量はないそうです。一方誰の入れ知恵かはわかりませんが、「ラウンドアバウト」が交通量の点では適当なのだそうです。飯田市で評判になってるしね。
現地をみるとまずは本当にできるのだろうかという感じがします。豊丘村の人たちからは、この「ラウンドアバウト」は危険ではないかという声も出ています。確かに現在の「空間」の範囲で作るとすればかなり危険なものとなるだろうと素人でも、まあ運転はしますからね、そう思いますね。現状では、付近の人たちは、朝のラッシュ時に明神橋方面、国道153号吉田交差点方面のバイパスに出るのが大変だといっています。しかし、「ラウンドアバウト」になればラッシュ時は多勢に無勢ですから、もっと出にくくなるだろうと予想できます。ほとんど利用することもない役人が、流行りに飛びつく考えは危うい。
県知事以外では、長野県では飯田市長と高森町長だけに農地転用の許可の権限があるということもあって、下伊那や飯田を、事実上、JR東海の好き勝手放題が許される、「リニア特区」にしてしまおうとする動きがあるような感じがします。
ところで、これまで県議選で下伊那郡区の定員は2、飯田市区は3でした。今度の県会で、飯田市区の下に下伊那郡を編入して「飯田市・下伊那郡区」で定員4にしました。下伊那郡民の県政への発言権は実質上なくなったわけです。平成の大合併で飯田市に合併しなかった下伊那郡の町村に対するお仕置きのようです。私は、このことは気にくわないのでこれからは、居住地を示すとき、これまでは「飯田の」といってきましたが、これからは「下伊那の」というつもりです。よろしくね。
(2017/12/18)