更新:2018/08/23
夏休み特集 3:電磁石の働き
今回は、電磁石を作ってみましょう。まず、材料です。エナメル線(銅線)が必要なのですが、ホームセンターでも売っていますが、廃品の中に小型モーターがあったので利用しました。電池2本で動く電動ヒゲソリのモーターです。
かなり錆びています。
外側のブリキのカバーをはずしたところ。永久磁石は中の回転子(回転する部分)の形にそうように内側が円形になっていて、回転子との隙間は非常に狭くなっています。
回転子です。鉄心にエナメル線が巻いてあります。3つとび出した部分があってそれぞれにエナメル線が巻いてあって電磁石になっています(参考:3極モーターへの進化)。このエナメル線をほどいて使います。
エナメル線を大きめのクギ(太さ3㎜、長さ66㎜)に巻き付けました。突起の一つ分の全部を使って、約150回(巻き幅約3㎝)ほど巻いてあります。巻く前に釘にテープ(※黄色いもの)を巻いておきます。
※ 鉄心となるクギは電気が流れますから、一応、絶縁のためです。この例は養生テープを使用。この実験であれば、ビニールテープとか紙でも良いです。まあ、巻かなくても大丈夫だとは思います。
B をミノムシクリップで挟んだり外したりしてスイッチのかわりにします。電池は単三を1本、または2本を直列にして使います。実験装置がゴチャゴチャしていて、分かりにくいので配線図を示します。
配線図
電池1本(1.5V)をつなぐと、ナット9個(インチネジ、1/4サイズ)をくっつけることが出来ました。
電池2本(3V)では、15個をくっつけています。
電池のつなぐ数を変えると、つまり電磁石に流す電流を変えると、電磁石の強さが変化します。
※ 注意:このページで作った電磁石はかなり熱くなります。電池をつないでいる時間はできるだけ短くしてください。電池の消耗も激しいはずです。このやり方の場合、単三電池以外の電源は使わない方が良いと思います。
プラレール(スーパーエクスプレス)も電動ヒゲソリとよく似たモーターを使っています。電池の本数を1本のとき、2本のときに、スピードがどのように変化するか試しました。
後ろの貨車に単三電池を2本積んでいます。1.5V(電池1本)と3V(電池2本・直列)の切り替えは配線を変えています。実験の動画です。
当たり前ですが、3V(電池2本・直列)のほうが速いです。3Vのほうが1周2.33秒、1.5Vのほうは1周4秒でした。電流を変えれば、モーターの中の電磁石の力も変化するので、モーターの回転数も変わり、スピードも変化するわけです。
このように電磁石(常電導)は強さを変えることができます。超電導磁石は非常に強力な磁石なのですが強さを変えることはできません。
電磁石でどうやって浮上させるか
電磁石の引き付ける力を使おうとすれば、そのままではくっついてしまうので、くっつきそうになったら電磁石に流す電流を弱め、離れ過ぎになると思ったら電流を増すように電子回路でコントロールすれば良いはずです。ドイツのヘルマン・ケンパーというシーメンス社の技師が1935年に実験に成功しています。隙間の長さ、距離を検知する方法と、検知した信号によって電磁石に流す電流を変化させるような電子回路を組み合わせれば良いわけです。具体的には専門の技術者でなくてはできないことですが、この方式で浮上させている、上海のリニア(トランスラピッド)、名古屋のリニモ(HSST)は10数年間営業運転をしています。
常電導方式で、車体を支え方向を決めるための電磁石は、鉄心に銅線を巻き付けたもので、ヒゲソリやプラレールのモーターでも、さらにいろいろな機械でも、もちろん従来の鉄道のモーターでも使われているわけで、非常に信頼性が高い部品だと思います。また電子制御、エレクトロニクスの技術も産業の各分野、工業製品のなかで広く使われています。