更新:2018/09/12

 豊丘村でも中部電力の自主環境調査報告書の閲覧が5月11日から1ヶ月間行われたそうです。回覧文書によれば、意見の募集はなかったようです。大鹿では住民の意見を求めたのに、なんか、不公平な感じがしますね。住民が何も言わなければ、当たり前のこともやらないという態度のように思います。

更新:2018/09/05

中部電力の自主環境調査報告書への意見書

 中部電力飯田営業所へ行って、中部電力の自主環境調査報告書について意見書を出してきました。入り口そばに、ブースがあって机と、椅子が4脚ありました。机の上に、厚さ約3㎝少しの報告書(持ち出し不可。ひもでホルダーに結んであって読みにくい)、要約書(持ち帰り可)、意見を書く用紙、案内、意見を入れるカギ付きの小箱がありました。意見箱は、A4判の用紙を封筒に入れるような4つ折りにしても口が狭くて入りませんでした。A5に折って、さら縦長になるように4つ折りにしてやっと入りました。


 以下のような意見書を出しました。

1.「自主的に」調査をされたのは評価できるのですが、事業内容の規模に比べ調査の内容は、近年のまた将来に向かっての、環境に対する住民の意識の向上状況に比べると、「形だけ」という感はぬぐえません。

2. 山中の送電線、鉄塔は光線状況により非常に目立つことがあります。時間により変化することが無視されています。また、フォトモンタージュの場所が少なすぎるように思えます。

3.クマタカについて工事期間中に慣れるだろうとの記述がありますが、そのようなことは科学的に確かとされるものではないはずです。慣れると言える根拠となる研究や論文を提示すべきです。(p572)

4.陸棲貝類を落ち葉ごと移動させるのは必ずしも良い方法ではないと思います。例えば落ち葉の湿潤状況は移動させる範囲だけでなく、その場所全体の環境によるものです。また、繁殖の機会を減らす可能性が高いでしょう。

5.鉄塔の設置位置で、25m下までが礫層という場所、また地すべり地帯もありますが、地震などで倒壊の危険性が高いのではないでしょうか。(p12、p43)

6.リニア計画本体の工事は始まっていますから、送電線工事単体でなく、他の作業とあわせて、工事車両の通行量、大気質、騒音などへの影響等を考える必要があると思います。それが出来ていないようです。

7.調査結果の公表の仕方は、ネット上で広く行うべきです。また意見の受付もネットでも行うべきです。今回のやり方では、見せたくない、意見は聞きたくないという姿勢が明らかです。

8.御社による変電所と送電線の建設は、下伊那地域において、リニア計画といういわば「国家的大プロジェクト」の一翼を担うものです。事業全体としては、下伊那の竜西地域の、特に高森町からの竜東の河岸段丘の景観に大きな変化を与えるものです。今回の意見募集は佐原から上蔵の間の送電線に限っていますが、また、調査が大鹿村、豊丘村だけに限っていますが、これでは、住民の合意を形成するという環境調査の主旨から言えば不十分と言わざるを得ません。

9.トンネル残土問題はじめ、リニア計画は遅れ始めています。本当にリニアは実現できる事業なのか疑問が出始めていると思います。工事着工は、たとえば南アルプストンネルが完成した後でも遅くないのではないでしょうか。

[3 への補足] 完成後にヘリを使った点検等を行う場合に、過去に営巣が放きされた例があったはずです。完成後の環境対策が不十分と思われます。

 これよりあとは、意見書には書いていません。

 No.26の鉄塔が地すべり地帯に予定されることについて、報告書は次のように書いています。なにか狐に鼻を摘ままれたような感じのする文章です。

古期地すべり地(Ols)については、滑落涯が古く丸みを帯びており、長年変状の進行が見られなかったことや、規模の大きな地すべり地であるため、建設される鉄塔は地すべり全体に対して規模がごく小さく、再滑動の要因となるほど動バランスの不安定化に影響を及ぼさないと想定されたことから、再滑動の可能性は極めて低いと考えられた。(p43)

 柱状図は No.30 の鉄塔に関するものと思われ、8mまでは盛土(砂混じりシルト)、25mまでは大方は砂礫層と思われました。(p12)

 JR東海のアセスでもあったことですが、景観について、わざわざ構築物が見えない場所まで調査報告に載せて「見えない」と報告しています。事前の対象の選択を机上の文献調査で行うからです。20か所選び6カ所が見えない場所で見える場所から9カ所選んでいます。こういう段取りをするよりは、住民の意見を聞いて、調査個所を選ぶべきです。