更新:2018/09/29
中川・大鹿の残土盛土計画で第三者による技術検討委員会
2013年11月14日撮影。小渋川とアカナギ(画面右上方向)の崩壊土砂。
1. 中川村・半の沢と大鹿村・アカナギ(※)下の残土盛土について、長野県と大鹿村が第3者による技術検討委員会を発足させたと27日の『中日』が伝えました。(以下、数字の順番で逐次的に書いています)
※ なお、記事などでは「鳶ケ巣沢」と書いてます。この場所は大崩壊地で国土地理院の地図では「鳶ケ巣」となっていますが、地元ではもともとはアカナギと呼ばれていました。現在でもアカナギと呼ぶ人がいます。小渋川左岸の残土で盛土する計画のある場所は、下流側から見た時、光線の具合で、小渋川に流出している土砂が赤く見え、特異な景観を示す場所です。(参考:鳶ケ巣大崩壊地)
2. 『中日』記事「盛り土計画、安全を審議 技術検討委が発足」。いまのところ、この第三者の検討委員会がどんな経緯で発足したのかは記事では分かりません。しかし、いずれにしても土砂災害の対策が必要と言っているようです。 "土屋委員長によると、いずれの計画に対しても地滑りや土石流など土砂災害の発生を視野に入れた設計の必要性を指摘する声が目立ち、半の沢については沢筋の河川水が盛り土に及ぼす影響や上流に設置する砂防ダムの機能について意見が出た。一方、小渋川左岸に沿って整備する方針の鳶ケ巣沢については「小渋川が洪水時、盛り土に及ぼす影響を十分に考慮すべきだ」などの意見が上がったという。" 埋立地そのものについてだけでなく、埋立地の上流の砂防ダムについて言及があったのは目新しいです。鳶ケ巣について記事は「環境対策」として行うと書いていますが、現状のままでおいた場合に、現在、あるいは将来どんな悪影響がでるという予測があるのでしょうか。目的が不明です。
3. この件について中川村在住の方に確認しました。長野県がJR東海に助け舟を出すため発足させた検討委員会と評価しているとのことでした。中川村のリニア対策委員会の第16回の議事録にあるPDFの25~26ページにかけて長野県がそのような発言をしています。いずれにしても、沢や谷に残土を埋め立てることは誰が考えても現状以上の災害対策が必要なことは明らか。
4. 『南信州』26日は立場上、平松信大教授の「盛り土をいかに安定させるかが課題。どちらの計画地も安定さえすれば特段の問題はないと感じた」というコメントだけをのせています。
5. 『信毎』27日は、"事前に現地を視察した委員からは、半の沢について「将来にわたる盛り土の管理も含めた計画を考えてほしい」。鳶ケ巣沢に対しては「(大雨などによる)土石流を考慮して、安全性を担保する計画をどのようにするのか」といった意見が出た。" と書いています。3紙の書き方を見る限り、専門家からみて、大方はやらないに越したことはないという感触を持っているのではないかと思います。
6. 「砂防フロンティア整備推進機構」が受託したのですが、県の、例えば林務部なのか建設部なのか、環境部なのか、リニア推進部なのか、どの部署が委託したのか不明です。
7. 直接関係しているのは飯田建設事務所と大鹿村のようです。「長野県(飯田建設事務所)プレスリリース 平成 30 年(2018 年)9月 19 日 」(キャッシュ)。
8. 『南信州』28日2面では、『中日』27日が伝えた、半の沢の上流の砂防堰堤について委員が発言したなど書かれています。アカナギ(鳶ケ巣崩壊地)下にしても、盛土そのものが安定に施工できたとしても洪水時に川の流れがどう作用するかという点にどの委員も関心はあるようです。
9. ある筋によれば、JR東海自身は盛土の設計はできないので、「砂防フロンティア整備推進機構」が設計をして、受託内容のセットで発足させた(?)技術検討員会で審議する形をとるようです。大鹿村はこの件で1300万円の予算をつけ、JR東海からほぼ同額が村へ入るようです。長野県が出す金額は不明です。また、半の沢については中川村は、独自に別の専門家の意見を聞く意向があるとのことです。