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写真A | 写真B |
上の写真Aは高低差700mのアカナギ大崩壊地。その直下、写真Bの右側の川岸に林があるところにトンネル残土を盛土造成して公園として「環境整備」する計画があります。長野県や大鹿村、報道などでは「鳶ヶ巣沢」と呼んでいますがもともとは「アカナギ」とか「大ナギ」と呼ばれていました。
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大鹿村内で発生する約300万立米を越える残土を大鹿村内で処分するのは不可能。JR東海が一番あてにしていた、松川町生田の約620万立米の処分先候補は、590万立米分は地元自治会が協議し候補取下を決定、残り30万立米は現在協議中。JR東海が求める処分地はいずれも谷筋で、将来の土砂災害の危険があります。豊丘村小園でも住民の反対でJR東海が断念。ともかく、残土の処分場がいまになってもほとんど決まっていません。 高森町の7月議会の一般質問に答え壬生町長は高森町は処分地としてリニアの残土は受け入れないと明言したように、谷筋に残土を置くことの危険性は伊那谷では常識です。 右は、大鹿村の深が沢のリニアトンネル残土仮置予定地。すでに、リニア計画以外の建設残土が置かれています。ここも崩壊地の直下です。 |
たちはだかる赤石山地 (南アルプス)
赤石山地は造山運動が続いている若い山地。赤石山地を熟知する地質学者の松島信幸さんは、リニアトンネルの工事が極めて困難で、万が一完成できたとしても、維持管理に非常に手間がかかるだろうと指摘します。完成を急ぐ、JR東海のもとでは完璧な工事ができるかどうか疑問とも。また、小渋川を橋梁で渡ることも危険と指摘しています。
リニアは地層がねじれた最も弱い部分を貫くそうです。
赤石山地をトンネルで貫くという、工事の点でも、経営の点でも、交通機関の安全性の点でも、あらゆる意味において危険といえる計画をJR東海が推し進める理由はなんなんでしょうか?
図版は松島信幸さん作成
1971年着工した上越新幹線は、開業予定1976年の計画でした。しかし中山トンネルの事前の地質調査が不十分で工事が難航した結果、開業を1982年まで遅らせただけでなく、トンネル内のカーブを新幹線の規定より急にしたため減速運転する結果となりました。国会図書館発行の『レファレンス』がこの例などをあげ、リニアの開業が遅れるリスクを論じています。
⇒ 須藤晋,"リニア新幹線の整備促進の課題―トンネル工事が抱える開業遅延リスク―" (PDF),'レファレンス(The Reference)',No.813、2018年10月20日,国会図書館
上越新幹線の中山トンネルでは、工事の困難な地層を避けるため、トンネル内でルートを2回変更。カーブの半径を、当初の6000mから、4000mに変更。さらに、1500mに変更。超電導リニアで、この手が使えるでしょうか?
写真を並べて展示しただけです。以下の説明は、展示には含まれません。
左は、山梨県立リニア見学センターのホームページにあります。"(撮影場所:山梨リニア実験線)実験線をのトンネル内(カーブ)の様子" という説明文がついていますね。山梨実験線で一番急なカーブは半径8000mです。以前に、この写真を見て、半径8000mのカーブだろうか、もっと急なカーブではないかと言った方がいます。
右は、トランスラピッド、上海のリニアですが、トランスラピッドのドイツのエムスランドにある実験線の半径1000mのカーブの写真。動画(※)から取り出したのでかなりボケてます。
※ Maglev - Hightech for Flying on the Ground の3分44秒付近のコマ
半径が8倍も違うのにほとんど同じ曲がり具合に見えます。これは、写真の写し方の違いでこのように見えるのです。見学センターのこの写真を見て、超電導リニアもちゃんとカーブが曲がれるとは思わないでください。
見学センターのほうは、直線のずっと先にカーブが見えるような位置で望遠レンズで撮影しているはずです。トランスラピッドのほうは、カーブ上を走る列車の運転席の窓から標準レンズか広角レンズで撮影しています。
半径8000mのカーブは、例えば、カーブに沿って1000m進んだとして、出発点と到着点を直線で測ると999m85cm5mm程度、その差は、15㎝もありません。または、カーブの上の直線距離で500m離れた2点を直線で結びます。その真ん中の250mの地点でカーブとの間の距離は約3.9mです。つまり、現場へ立って見たならほとんど直線に見えるはずです。トランスラピッドと同じ撮り方をしたら直線に見えるでしょう。