更新:2018/06/04

フェイクニュース、残土活用が本格化?


 6月1日と2日の『南信州』の第1面。見出しに注目。

残土活用は真っ赤なウソ

 右の6月2日は、5月31日に大鹿交流センターであったJR東海と大鹿村主催の住民説明会の記事(Web版)。内容についてはこのブログがきちんと書いています。説明会の目的は国道152号線の迂回路を6月1日から使用することについて住民に理解を得たいというもの。問題点は、工事の進ちょくに応じて住民にきちんと丁寧に説明すべきという、JR東海と大鹿村の住民に対する責務を怠ったという点です。説明会のなかで、JR東海も大鹿村も再三、お詫びを言っておりました。『信毎』の見出しは「リニア車両暫定迂回路きょうから通行 大鹿村民に説明会」。

 「残土の活用」についての説明会ではありませんでした。そして、実は「活用」でもありません。残土の行き先がないので苦し紛れに、必要もない工事を計画して残土をその工事の中で使うという話。大西グランドは残土を埋め立てて嵩上げして、再度グランドにするというのですが、嵩上げすれば盛土は台形ですから当然面積は減ります。現在、野球のゲームが2つできるのが、1つしかできなくなるとも聞きます。明らかに活用じゃないです。悪用です。

航空写真でざっと計算してみると、テニスコートまで含め現在の大西グランドは面積約17732平方メートル。単純に体積を面積で割っても、10万立米積むとすれば約5.6m以上高くなります。法面は斜めになるので面積は減ります。現在、グランド部分が、143m×103~90m。90m×70mが2面使えそうです(対角線114m、バックネットが2つ)。法面の勾配が 1:1.5 なら、5.6m積むなら水平の長さで各辺約17m短くなり、グランド部分は約135m × 86~73m。テニスコートまで含め面積は約14038平方メートル(21パーセント減)。重機でのしてしめるので入る残土の量はちょっとわかりませんが、グランドの面積が減るのは間違いない。

 直接関係ないけれど、工事関係者のクルマでも通勤用の自家用車は国道152号線を通っても良いと思うと発言をされた方がいました。随分と理解のある人だと思いましたが、今頃になって気が付きました。googleの航空写真を見て考えるか、大鹿へ行ってみて下さい。

安全性のアピールに失敗

 6月1日の左の記事。これは5月30日の豊丘村リニア対策委員会。基本的に、JR東海も中部電力も長野県も前回の委員会での報告から目立った進展はないというもの。⇒ 第14回豊丘村リニア対策委員会、5月30日

 本山の処分地の安全性については、委員の質問にJR東海が答えたもので、設計上の計算式に使用したデータや係数がどうのこうのという問題で、JR東海は安全性を強調できるようなことは何も発言していません。委員たちに理解できるように説明できていませんでした。みんなポカンとしていました。さらに、回答したJR東海の社員は暴言に近い返答をしていました。それを質問者がやんわりと叱責したら、目が覚めた委員たちが結構いたように感じました。JR東海の態度のデカサを印象付けちゃったのだから、安全性のアピールなんかできないはずで、委員会の終了後に『南信州』の記者さんにだけ安全性を強調したのかも。

JR東海に土木の専門技術者がいない

 で、結果的に、あわててのようにも見えましたが、事務局が、難しい質問は委員会で、いきなりやらないようにと、事前通告してねと、きびしい質問をする委員に対してお願いしていました。つまり、住民がビビるようなシビアな問題については表に出さないようにしましょうね、ということなので、こういう動きを村がし始めたことの方が大問題。住民に丁寧な説明がされているかどうか、その辺を理解できない記者さんが大半なのが『南信州』が残念な新聞を脱却できない原因。

 JR東海からは説明会に結構大勢の社員が出席するのですが、社員に土木関係の本当の専門家がいないことも事前通告を求める原因だと思います。国会の答弁と同じです。別の説明会で、ほんのちょっと、詳しいことを聞いたら、即答できなかったことがありました。後日、技術部門から機密事項だから教えてはダメと言われたという回答をもらいました。


 本山の残土置場は、人里から少し離れているので危機感を感じるひとは少な目だと思います(虻川の地図)。しかし、130万立米という量は、その場所だけ安全にできればよいという問題でなく、そんなことは絶対に無理(参考)なのですが、虻川全体の防災対策も全面的に見直さなければならないほどの非常識きわまりない量。10パーセントが流出しただけでも、下平村長ご自慢の道の駅「とよおかマルシェ」辺りまで水浸しになる可能性もないとは言えません(※)。災害が起きた場合、後始末をJR東海がちゃんとやるはずないので、結局は県や村の費用で始末しなくてはなりません。

※「とよおかマルシェ」の計画が出てきたのはリニアの具体化より後です。建設されたのは堤防に囲まれた場所です。この一帯をリニアの残土で埋め立てて嵩上げすれば、良かったのにという人もいます。ただし道の駅ができる前だったらよかったのに。約60万立米は入るのではないかと思います。

 『信毎』の記事の見出しは「豊丘の県道工事 10月末まで延長」。まあ、事実としては、こんなところでしたね。

 『南信州』が本山の残土の安全性をどれだけ強調しても、下流部に集落があるという事実は変わりません。


北入地区


伴野・上村や南小学校(林里)


虻川の最下流部から上流を見たところ。