更新:2018/06/07

風越山トンネルの工法変更について、座光寺で説明会、6月6日


スライドの両端が欠けています。

 6月6日夜、飯田市とJR東海による、「リニア関連事業に関する座光寺地区説明会」が座光寺公民館でありました。JR東海は風越山トンネルの東側部分の工事方法の変更について、飯田市は、「代替地整整備計画について」、「リニア関連事業に係る都市計画決定・変更手続きについて」説明しました。

シールド工法はいまだ検討中!?

 JR東海も飯田市も「かざこしやま・トンネル」といっていましたが、風越山トンネルは、中間駅のすぐ西から松川までの区間のトンネル(下図)。


配布資料より

 2013年に路線が公表された時点では、「土曽川非常口」から本線トンネルまで斜坑(作業トンネル)を掘ってから本線トンネルを掘り進めるという計画でした。工法は「山岳トンネル」の掘削では一般的な「NATM(ナトム=新オーストリア工法)」を採用するはずでした。

 しかし、環境影響評価では、中間駅の西から飯田市滝の沢地区までの間ではトンネル工事で地下水への影響があると予測されていました。関係地域へのアンケート調査では654地点で地下水が利用されていたこともわかり、地下水への影響が小さいシールド工法の採用を検討してきた、というのがJR東海の説明のだいたいのところ。2つの工法の大きな違いは、掘削した山の地肌が鉄骨やコンクリートなどで補強されずにそのまま露出している時間がシールド工法の方がNATMより少なくて済むということ。以下、JR東海の配布資料から抜粋。


「資料09」の「施工計画検討区間」は中間駅西から黒田非常口付近までではなく、これまで名前の出ていなかった滝の沢地区になっている点に注意。


シールド工法は「高い地下水位を苦手」(資料10)とされるので、この区間で一番問題になるのは、「丸12」の松洞川の付近と説明していました。つまり、短い区間だけれど、シールド工法では困難な箇所があるということ。


「シールド工法が適用可能であるとの結論に至」った、「シールド工法での施工に向けて、発生土搬出方法等の課題に対する検討を進めて参ります」という部分に注意。地域住民の水の利用への影響が少ないという点からはシールド工法が良いのだけれど、工事をする側としては、住民への影響を考えなければNATM工法の方が都合よいと考えているのかなという印象を受けました。


シールド工法にする場合にそのほかの大きな問題点は、残土の搬出経路とNATMで掘り進む部分との接続の問題があると、JR東海は説明。工事ヤードは最初の計画通りに唐沢地区の土曽川沿いの場所にして、北条地区の坑口からベルトコンベアで工事ヤードまで運ぶことを検討しているといっています。工事期間に限られますが、コンベアを使う場合、かなり大規模な構造物を設置するはず(参考:東濃リニア通信:5月21日、岐阜県瑞浪市日吉町南垣外)。騒音の問題も出てくるはずです(※)。

※ JR東海の「中央新幹線日吉トンネル新設(南垣外工区) 工事における環境保全について(PDF)」によれば、50m離れて68dB程度。南垣外工区では、トンネル掘削は昼夜、ベルトコンベアによる残土運搬は7時から18時。


 参加した住民から、唐沢の非常口ができた場合、非常口からの騒音はどの程度のものかという質問がありました。シールド工法にした場合非常口はできません。JR東海は、回答ではその点に触れずに、工事ヤードからの騒音については対策を考えていくといっていました。

 シールド工法の説明は、都市部の例で示していたので、立坑を掘ってシールドマシン(図中、オレンジ色の部分)を降ろすようになっていました。北条から「発進」させる場合は立坑を掘る必要はないように思えましたが、明確な説明はしませんでした。掘り終わったときには、立坑を掘ってそこから機械を引き上げるのではなく、北条の口から引き出すことも考えていると説明していましたが、滝の沢に立坑を掘ったり、黒田(今宮の東)でない滝の沢付近にNATMのための斜坑口と工事ヤードを設けるとするなら、これは大事になると思います。黒田斜坑口の変更はないのでしょうか?

 「今後のスケジュール」を見ると、「地質調査」、「発生土搬出方法の検討」は7月以降も続きます。「地質調査」、「発生土搬出方法の検討」は工法を決定する上で重要な要素です。やはり、工法はまだ確定していないという印象を受けました。このトンネル本当に掘れるんでしょうか? 直接に工事を担当するのは北陸新幹線の工事で地盤沈下や陥没を各地で起こした鉄道建設・運輸施設整備支援機構です。

飯田市の説明は分かりにくい

 「代替地整整備計画について」のなかで、いくつかの道路の整備の話がありました。そのなかに、阿島橋につながる、県道上飯田線(県道251号)と国道153号線の旧道の丁字路交差点から県道市場桜町線までの間(下の写真の赤い円内)に新しい道を造るという説明がありました。スライドでは地図を示しているのですが、飯田市の配布資料には地図(下の写真2枚)がありませんでした。


(赤い円は撮影者が表示)

 「市道○○号線」からどこどこへと言われても、分かりにくいので、参加者に地図を配布するくらいは常識だと思います。参加した住民からも指摘がありました。上の写真でオレンジ色の楕円が並んで書かれている部分については、およそのことだからなどと、なにか公表したくないようにもとれました。飯田市は住民に説明できるほどのしっかりした案ができていないのではないかと思いました。

この地図が示されたとき、フラッシュをたいて写真を撮っている新聞記者さんがいました。制止されなかったので私も撮影しました。そういえば、冒頭以外は撮影禁止という注意は無かったです。ところでこの記者さん、ちゃんと写真がとれたでしょうか。普通はスクリーンに映ったものを撮影するときフラッシュを使うと上手く写りません。ただし、会場の内部の参加者の姿も一緒に写したいときには有効でしょうね。

 「リニア関連事業に係る都市計画決定・変更手続きについて」は次の資料を配布しました。



 座光寺の対象地域には農地がかなりあります。営農に影響のないように計画したいと飯田市は述べましたが、リニアの路線と保守基地、保守基地への引き込み線だけでも大きな影響を出していて、農業というのはある程度の地域の範囲で多数の農家が共存することで成り立つという面からすれば、何を今さらではないかと思いました。

 説明会で説明された通りのことの全体が本当に実行されたら大変なことになるだろうし、特にトンネルの工法の変更は、本当にこんなことができるのだろうかという感じもしました。

質疑

以上、予定の9時よりは前に終了しました。