更新:2019/05/27、訂正・補足 2019/06/07
長野県駅は朝夕各1本停車でOK
現在、飯田から東京や名古屋方面の高速バスの利用者は1日約1500人程度です。他に名古屋方面なら車を利用する人もいるでしょう。リニアが出来たら、6800人の利用者があるんだという説明には、現状からみて、そんなことはあるはずないが、大方の住民の感想です。
「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」という会社がリニアの経済効果を予測した中にある数字なのですが、説明会での飯田市の説明の仕方がなっていません。結局は、長野県の予測、JR東海の予測も、飯田市の予測もどれもほとんど同じなので、これでいいんだ、間違いないというのが飯田市の説明です。
※訂正(2019/06/07): 上の段落の "「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」という会社がリニアの経済効果を予測した中にある数字" は、間違いです。飯田市は「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」とは別の「ある会社」の推計した数字を使っています。この数字を含む報告書は以前、ある市会議員が文書公開で出してもらっていました。2019年6月5日(または6日)に飯田市の担当課に見せてもらえるか問合せ返事待ちです。文書のタイトルは「平成24年度 官民連携推進支援調査事業 リニア中央新幹線ー飯田駅(仮称)施設規模の検討業務 報告書 平成25年3月 一般財団法人 ○○計画研究所」。○○となっているのは、私自身のメモの文字が判読できなかったためです。よって、飯田市のJR東海や長野県の出している数字とほぼ同じだから間違いないという説明はデタラメというわけではないのです。しかし、推計の仕方、基礎となる資料(アンケート結果)が同じようなものなら似た数字になるわけで、3者それぞれの推計の仕方、基礎となる資料が妥当かどうかを検討する必要があります。
(補足 2019/08/12) 飯田の中間駅の利用者数の予測を行った調査機関の名前は、「一般財団法人 計量計画研究所」。
コンサルタント会社がやったのだから間違いないという考えが飯田市の職員さんたちにはあるんでしょう。予測の方法や基本にしたデータについても報告書にはあるはずで、そこらを丁寧に説明すれば良いのに、たぶん職員さんたちはそれをきちんと読んでいないのだと思います。あるいは、説明しても住民には理解できるはずないからという気持ちもあるかも知れませんが。だから、住民が理解できるように説明ができない。
それはそれとして、最近、藻谷浩介さんが飯田に来て講演会で飯田の中間駅に停まる列車の数が1日に3本ということを知っているかと会場の参加者に質問したそうです。1時間に1本止まるなんてまだ決まっていないし、それは皆さんの思い込みじゃないんですかという意味だったそうです。
さて、飯田から東京までの所要時間は一口に4時間以上といわれます。
ちょっとおおざっぱな計算をしてみました。
リニアの停車本数を上下とも朝1本、夕方1本とします。乗車定員を飯田市なんかの期待通りの16両編成1000人じゃなくて、12両編成、728人とします。すると、朝、東京方面と名古屋方面に合わせて1456人を運べます。で夕方も同じです。
高速バスの定員は1台で40人程度です。だいたい1時間に1本出ています。それで1日の利用者が約1500人です。
つまり、長野県の中間駅では、朝上下1本、夕方上下1本で間に合うはずなんです。ただし、飯田市長のように寝坊助さんも朝の便に乗らないとまずいですが。
今から約50年以上まえ(※)だったと思います。飯田線に新宿行の「赤石」と長野行きの「天竜」という2つの準急だったと思いますが、3両+2両の5両で朝一番に天竜峡からでる列車がありました。東京へ行く人はこれに乗らないと昼前までに東京に行くことはできませんでした。所用時間は5時間以上だったと思います。
※ 1963年6月からとしているページがありました。飯田線で初めて目にするディーゼルカーだったと思います。名古屋方面へは、豊橋経由の「伊那」がありました。こちらは湘南電車のお古で名古屋まで相当時間がかかりました。
リニアは速いので昼前なんていわなくても、仕事の始まる時間前に東京に着きます。1日朝夕1便でも、東京で使える時間は長くなるので文句はないはずです。
中間駅で停車するたびにリニアは車輪の出し入れをします。動作のトローイ分岐装置を動かして待避線=乗り場に入れなきゃなりません。それに、乗降装置も複雑であまり頻繁には使いたくないでしょう。中間駅は建設をスムースに進めるために設置するんですから、のちのちコストがかかってはJR東海は面白くない。
朝夕1本でも、現状で飯田から行く人の利便性は損なわないし、JR東海としてもその方が良いはず。たぶん1日の停車本数は上り下りともに朝夕各1本になると思います。あくまでも、万が一完成した場合の話です。
補足(2019/06/07):国土交通省超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会に関与した曽根悟さんは『新幹線50年の技術史』(講談社ブルーバックス、2014年4月18日)のなかで、各駅停車ではなく、中間駅は一つしか止まらない「選択的停車」という方法もあると書いています。(関連ページ)
JR東海さんがやってる飯田線の特急「ワイドビュー伊那路」も1日に2本だけです。それも、変な時間帯に。