『中日』2019/07/18

「リニア着工と並行して協議」 JR東海、静岡県に回答

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、静岡県は十七日、大井川の流量問題や環境対策に関する中間意見書への回答案が、JR東海から届いたと発表した。

 十二日付。中間意見書は、工事で発生する湧水の上限を毎秒三トンに設定した根拠や、工事で発生する盛り土や自然環境対策など、質問や注文を盛り込み、県が六月六日に提出した。

 JRの回答案では、湧水の上限を毎秒三トンとした根拠を「水収支解析の結果」や「過去最大級のトンネル湧水量の実績」から算出したと説明。着工の条件として県側か求めている基本協定の締結には言及を避け、 「まずは工事に着手させていただき、工事を進めながら並行して説明や協議をする」としている。

 リニアエ事は、静岡工区だけが未着工。川勝平太知事は、中間意見書に対するJRの回答に、関係者含めて十分な納得が得られなければ、着工に同意しない姿勢を示している。

 難波喬司副知事は報道陣に「中身が文章だけなのはいかがなものか」と語り、JR東海は「今後、県や専門部会の委員に直接説明し、回答案が趣旨に合っているか伺う」とコメントした。