『南信州』2019/07/18

検討委が大筋で認める 大鹿村 鳶ヶ巣沢などの残土活用

 リニア中央新幹線工事の残土を活用する大鹿村の鳶ヶ巣沢環境対策事業と、県の中川村半の沢道路改築事業の安全性を検証している検討委員会が12日、東京都内であり、大鹿村や県などが提出した設計案が大筋で承認された。村によると、JR東海は鳶ヶ巣沢の盛土部分について永続的な管理に前向きな姿勢を示した。

 残土活用の両事業が砂防指定地内に大規模な盛土を行うことから、安全性・防災面で適切な事業となるよう、県と村が学識経験者による設計照査を依頼。一般社団法人砂防フロンティア整備推進機構が、学識経験者4氏による第三者委員会を開き、準備会1回と検討会3回を実施した。JR、県、村関係者も参加してきた。

 村によると、鳶ヶ巣沢の事業は、以前提示した工法と異なる工法を提示し、検討委から妥当と判断された。盛土より下の安定した地盤に杭を入れて固定するなど、恒久的な影響を考慮し、より安全な工法を目指した。

 また、JRに要望してきた盛土部分の永続的な管理についても、了承を得られたという。

 鳶ケ巣沢では、土砂流出防止や護岸のために崩壊地形下流部の小渋川、鳶ケ巣沢合流地点に盛土による環境対策を行う。村は、非常口に近いエリアに残土活用先を設けることで土砂運搬車両の通行量を削減する効果も期待する。また、県事業の主要地方道松川インター大鹿線半の沢地籍の道路改築では、村が長年要望してきた狭あい区間の解消を期待する。

 今後、委託先が委員の意見をもとに設計照査の報告書をまとめる。県や村は、報告書を受けた後に各事業の詳細設計に入る見通し。