[ 南信リニア通信 ]
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10月27日、「高森自由大学」でリニアについて報告をしました。テーマは「リニアってどんなもの?」ということで、超電導リニアの仕組みと開発の歴史、本来は比較対象になりうるはずの上海のトランスラピッドの仕組みと開発の歴史、両者の違い、を中心に報告しました。
人前で話すことはほとんどないので、考えていることが、きちんと話せたかどうかについては、かなり怪しいと思いました。原稿に書いたことを言い忘れたところも多々ありました。パウエルとダンビーが超電導リニアの発案者だったことを、どなたもご存じでありませんでした。不十分な発表だったと思いますが、聞かれた方たちが、リニアについてはほとんど知っていないという感想を述べられていたので、多少なりとも情報提供へのきっかけとなったとしたら良かったと思います。
高速で走る浮上式鉄道を開発という宿題への解答としては、トランスラピッド方式が正解。しかし、気候変動に対応しなくてはならない現在の世界は、浮上式鉄道でなければ実現できない高速を求めなくなってきているので、浮上式鉄道は不要です。
また、リニアのアセスに対する、環境大臣意見は、リニア中央新幹線計画は事業規模が非常に大きいので「工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない」と評価して、「技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない」というものでした。異例の厳しい意見だったといわれています。政府の内部でも、マズイ計画という認識があったのです。
本当はJR東海は何のためにリニアをやるのか合理的な理由がわからないという人がいます。世間一般の人が納得できるような合理的な目的がないことについて、参考書にあげた、老川慶喜さんの『日本鉄道史 昭和戦後・平成編』の第7章「JR体制下の鉄道」の「リニア中央新幹線への疑念」(p273)という部分が、あるいは老川さんが書かれたこのページは、理解の一助になるかと思います。
新幹線的な交通機関が地域に必要か否か、その問題はまた、別の議論が必要と思い ます。しかし「リニアを見据えた」地域づくりは、結局「リニア任せ」で、地域の具 体的な努力を忘れさせると思います。
認可取り消し裁判について触れなかったので、質疑で現在の状況を説明するように求められました。裁判の様子については、HP、「ストップ・リニア!訴訟原告団 &リニア新幹線沿線住民ネットワーク」や「飯田リニア通信」を見てください。(2019/10/29 記)
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