更新:2020/01/23、当日の配布資料を「飯田リニア通信」に掲載しました。特に「リニア中央新幹線 長野県内事業概要図」は印象操作バカ丸出しなので注目。

更新:2020/01/10、2020/01/16 補足

1月14日、長野県とリニア沿線14市町村とJR東海の意見交換会

 長野県とリニア沿線14市町村とJR東海の意見交換会が、昨年1月から1年ぶりに開かれます。これが、5回目。会場は飯田市追手町の南信消費者センター。15時15分から17時15分。JR東海からは「宇野護副社長(ママ)」が出席予定。会議冒頭以外は非公開(『南信州』9日、 長野県建設部リニア整備推進局)。

 もともとは、豊丘村の2か所の残土処分地の谷について、住民の反対によって使用を断念せざるを得なかった事件をうけて、2016年7月13日に急きょ開かれたのが最初(当時『信毎』だけが報道)ですが、正式には、10月3日が第1回で、このときには、リニアに反対する十数名の人たちが会場の県合同庁舎まえでアピール行動をしたと当時の『信毎』の記事に書いてありました。

 『南信州』9日は、昨年の意見交換会では、市町村からJR東海に対し、トンネル掘削で発生する残土置き場の早期確保を求める要望があった。 宇野社長(ママ)は「活用先の確保が不十分」との認識を示し、新たな候補地の情報提供を求めていた。 と書いています。この1か月前、2018年12月に長野県が、自治体や建設事務所などに残土処分地や活用先の候補の再募集を呼びかけていました。1年前に約21万立米の処分先が確定していましたが、以後確定した処分地は皆無、見込みもない(参考)。宇野副社長がわざわざ出張るというのは、大井川の減水や南アルプスの環境問題で座礁している静岡県同様に、伊那谷の残土問題がリニア計画にとって非常に大きな困難になってきている証拠です。

 2016年当時の新聞記事をあらためて読み返してみると、JR東海の意図や説明が地元とうまくかみ合っていないという印象を受けます。それは、JR東海の準備があらゆる面で不足していたからではないかと、最近の静岡県とJR東海の最近のやり取りを見て思いました。であるのに、阿部県知事や市町村長たちが一途にリニア推進に傾いているのは、異様に思えます。

 3月末までに、静岡県内のリニア工事の着工は到底無理です。そうすれば、JR東海がこだわる2027年名古屋開業も無理です。やはり、少なくとも、いったんすべての工事を中止して、計画を見直すことが必要です。きちんとした国民的な再検討、つまり国会で議論すべきで、そのような中で、リニア新幹線は必要ないということが明らかになると思います。


非公開の本当の理由

 14日のJR東海、長野県、沿線市町村長の意見交換会の記事が、『信毎』 "JR、残土処分30カ所候補調整 天竜川橋梁、近く契約見通し"。『中日』 "残土処理不安解消へ、JRが個別協議方針 リニア工事"。

 残土処分先の問題について、『信毎』は、全て利用できれば県内の工事で発生する残土974万立方メートル(JR見込み)の約8割を処分できる見通しとも説明したが、全量の処分先確保のめどは立っていないことになる と指摘。 また、候補地約30カ所は、信濃毎日新聞が昨年12月下旬までに県への情報公開請求などを通じて把握した数と重なる。 という部分については、『信毎』は 1月6日に記事を掲載しています。『中日』によれば、複数の首長が、大雨や地震に対する安全性に関して丁寧な説明を求め、JR東海は、「飯伊地方は過去に三六災害の経験があり、発生土置き場に不安が大きいと十分に認識している」と理解が得られる対応を約束。将来的な管理については「場所ごとに地元住民が懸念していることがあり、(JRによる)継続した管理や土地の購入も選択肢の中にある」と個別に協議する方針を示した そうです。

 静岡県の問題については、『信毎』は、市町村長側からは「27年開業を前提に事業を進めており、予定は崩さないでほしい」との声もあったという と書いています。『中日』によれば、各市町村長からは、リニア県駅周辺整備への協力や、工事車両による影響の低減、騒音対策として「防音防災フード」の設置などを要望する声もあった そうです。

 というような内容について、なぜ非公開としなくてはならないか。県庁のHPに、・当日は冒頭のみ(県、市町村代表、JR東海の挨拶まで)公開で行います。 ・意見交換会終了後、取材に応じます。 とあったので、この書き方から報道関係者だけを念頭にしたものと忖度すべきかと感じたので、一般県民の傍聴は可能かと電話で問い合わせました。電話を受けた担当者は即答できず、(多分上司か担当者に)聞いて折り返し返事をするという。傍聴可だったのですが、こういう会合について県民に対して公開、非公開について部署内で基準が徹底できていないというのは非常におかしいと思いました。この件について、消費者センターに来ていた、Hという県職員に指摘すると、質問者の電話料金を考えてそういう対応をするという、チンプンカンプン意味不明のコメントをされていました。折り返しを要望したのは私なんですが。だから、全部聞けなきゃ意味ないじゃなくて、冒頭以外非公開でも傍聴に押し掛けたほうが良いと思います。長野県は、県民は何も言わないだろうと「ゆるんで」いるのですから。

 さて。『信毎』、『中日』も県内では初の明り区間の工事契約が近く成立するというJR東海側の説明にふれています。思ったことは、JR東海さんは、自社の仕事は契約をするところまでで、住民への対応など、工事に先立ってやるべきことの大半を契約した業者や地元自治体に丸投げしているつもりなのではということです。JR東海になってから以後、新しい路線を敷設するのはこのリニア中央新幹線がはじめてのはず。事業が上手く進んでいないのは、計画自体が無謀な上に、JR東海に新線建設のノウハウがないからでないかと。となれば、地元の首長たちもリニア任せの期待感だけでやってるので、長野県、JR東海の3者それぞれに、切実な責任感が欠如していても不思議はありません。だから、議論が成り立たない。だから非公開となるのではと思います。この意見交換会の発端は小園の残土置場が没になった事件で、実質の第1回は2016年の7月13日で、『信毎』が報道しました。本来なら第6回目の今回の開催については、『南信州』(9日)のみが事前に報道。