更新:2020/02/10

"重要な提案を最初に伝えたのは知事ではなく自民でした"

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JR東海が自民に空手形

 2月7日、静岡県議会の最大会派・自民改革会議がリニア問題について勉強会を開きました。JR東海から宇野護副社長、環境問題の統括を担当している沢田尚夫企画推進部担当部長などが出席。席上、宇野副社長が水枯れが起きた時の補償について言及したと報道されました。報道記事を見た順に紹介します。

『日経』 "JR東海、リニア水問題で「期限設けず補償」"。

 県議会の最大会派・自民改革会議の学習会の席上、宇野副社長が水問題の補償は期限を限らないと説明。JR東海が未来永劫に存続する保証がない以上宇野氏の提案は空手形だし、リニア計画のためにJR東海の業績悪化の可能性もあります。

 この「事件」を、『テレビ静岡』 "知事いぬ間に…JR東海が”自民”に水問題の「重要提案」 リニア問題・静岡" と報道。

 このやり方、普通に考えれば、川勝さんを刺激しちゃってマズイかな…。自民もJR東海も、何やってるのという感じ。桜を見る会について、安倍さんの国会答弁に似て、どんどんドツボにはまっていく感じです。

 『信毎』8日 "国内短信:リニア工事水源補償、申請期限設けず"。

 JR東海は7日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事で工業用水や農業用水が減るなど水資源に影響が出た場合、補償の申請時期に期限を設けないと明らかにした。静岡県議会の自民会派が開いた勉強会で説明した。
 国の公共事業では工事完了後1年以内に申請する必要がある。同社の宇野護副社長は県庁で記者団に「関係市町村が懸念しているので万が一のことを約束してほしいと会派から依頼があった」と述べた。国の基準ではおおむね30年とされる補償期間に関しては「今後の話」とした。

 それほど画期的なことを宇野さんは述べたわけじゃない。『日経』によれば、因果関係があればという条件がつくのでなおさらです。安倍さんの国会答弁と同じで、結局は同じ発言を繰り返しているだけ。いつ潰れるか分からないJR東海ができる約束ではない。『テレビ静岡』の 重要な提案を最初に伝えたのは知事ではなく自民でした は、今の自民はこの程度のあてにならない情報で動いているということを皮肉っているのだと思います。自民系の議員を「ごろつき」と呼んだのはどこ知事だったか。

 『静岡新聞』8日 "リニア工事影響でJR、水補償の請求期限設けず 勉強会で説明" は:

勉強会は非公開。宇野副社長は終了後、記者団に「事象が生じるのはいつになるのかも分かりにくい。従来の基準だと1年だが、期限を設けない」と説明補償を受けられる期間は公共事業の基準に沿って30年間に限定するとしていたが、宇野副社長は「今後の話だ」と述べた。ただ、因果関係が認められた場合に限って補償する方針は維持し「泣き寝入り」が解消されるかは不透明自民の野崎正蔵政調会長は取材に「科学的にどうのより、流域の不安を解消できないかと勉強会を開いた」と狙いを語り、JRの説明について「細かな内容は詰めないといけないが、大きな方針としては評価できる」とした一方、県議会第2会派ふじのくに県民クラブは同日、県当局からJRとの協議状況の説明を受けた…同会派リニア問題プロジェクトチームの佐野愛子座長は「JRの説明に矛盾が多いことがよく分かった」と述べた と書いています。

 『NHK NEWS WEB 静岡』(2020年02月07日 21時02分)は:

 リニア中央新幹線をめぐり県議会自民党は静岡工区の着工を県が認めていない状況を踏まえ事業主体のJR東海を招いた勉強会を開き、JR側からは「水資源に影響が出た場合は、期限を設けずに補償をする」として水資源への影響に対する地元の懸念を払拭したいという考えが示されました。
 リニア中央新幹線の本体トンネルの工事について、大井川を流れる水の量の影響への懸念から県が着工を認めていない問題で、県議会自民党は7日、JR東海の宇野護副社長らを招いて事業者としての考え方を聞く勉強会を開きました。
 非公開の会合で宇野副社長は、「水資源に影響が出た場合は、『工事完了から何年以内』という期限を設けずに補償をする」と述べ、大井川の水量への長期的な影響に対する地元の懸念を払拭したいという考えを示したということです。
 その上で、リニアが開業すれば東海道新幹線では「のぞみ」の必要性が薄まり、静岡県内に停車する「ひかり」や「こだま」を増やせる見通しであることを説明したということです。
 会合の後、宇野副社長は「人が住む下流域の水量に影響は出ないと考えているが、万一の際の対応を示してほしいという要望を受けて補償の考え方を説明した」と述べました。
 一方、県議会自民党の野崎正蔵政調会長は「水が減った場合にどうするかを表明してもらったのはよかった」と述べました。

 と、功を奏するかどうかは別として、さすがNHK、「自民党がちょっとした手柄をたてたぜ」みたいな、事件の本質を正確に伝えています。まあ、JR東海が具体性のない方針を自民党にしゃべらせたともいえます。

 JR東海は、被害があった時の補償については、たとえば、残土処分場の土地を購入したり(豊丘村下沢、26万立米)、購入するかも知れないようなふりをしたり(豊丘村ジンガ洞、8.5ヘクタール、130万立米)と、未来永劫に責任を持つかも知れないみたいなポーズをとってきました。土地を購入したとしてもJR東海が永遠に不滅というわけじゃないし、R東海から他の企業に売却されないという保証もない。不確実な点は大井川の減水対策だって同じです。

 実はできもしないことなのに、政権政党の自民党が約束してもらったのだから川勝知事は工事着工を認めなさいよという、桜を見る会で絶体絶命の安倍晋三さんが総裁をやっている自民の意図が良く読み取れるNHKのニュースです。わざわざ川勝知事の留守を狙って静岡県を訪れたJR東海の宇野護副社長。自民党に仕掛けたような小細工が静岡県に通じるかどうか。

 このページを書いているとき、NHKのラジオから今日の国会についてニュースが流れました(『NHK NEWS WEB』(2020年2月10日 4時20分))。

国会では、10日も新年度予算案の質疑が続き、12日には、集中審議が行われます。与党側は、着実に審議を進め、今月中の衆議院通過を目指しているのに対し、野党側は、「桜を見る会」などをめぐって、引き続き、追及する方針です。
新年度予算案の審議が行われている衆議院予算委員会では、先週、「桜を見る会」の公文書管理をめぐって、北村地方創生担当大臣が、明確に答弁できず散会となり、10日改めて、質疑が行われることになりました。
また、12日には、新型コロナウイルスへの対応などをめぐって、安倍総理大臣らに出席を求めて、集中審議が行われるほか、今週14日には、福島県と熊本県で、地方公聴会が開かれることになっています。
与党側は、予算案の年度内成立を確実に図る必要があるとして、着実に審議を進め、月内に衆議院を通過させたい考えです。
これに対し、野党側は、「桜を見る会」などをめぐって引き続き、追及するとともに、徹底した審議を求めていく方針で、今後の審議日程について協議が続く見通しです。

と、野党はいつまで「桜を見る会」にこだわっているんだと思わせるニュースですね。野党がなぜ「桜を見る会」の究明にこだわっているか、まったく説明していないからです。NHKのニュース報道は、よくよく注意して聞かないと(見ないと、読まないと)いけないなと思いました。