更新:2020/05/19

トランスラピッドの車上電源の給電方法

 超電導リニアの新しい試験車両に、やっと、初めて全面的に誘導給電方式が採用されるらしいです。上海で走っているトランスラピッドの給電方式は、正田英介ほか共著『磁気浮上鉄道の技術』(オーム社、1992年、p185)によれば、こんな感じです。

 トラスラピッドはモノレール式のガイドウェイです。車体下側の腕の先にある浮上用磁石が鉄のレールに吸着しようとする仕組みで、走っています。発電機もこの腕の先の部分にあります。

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 鉄のレールには、推進コイルの電線を巻きつけるためのスロット(切り欠き、溝)があります。("西ドイツの磁気浮上式鉄道の開発動向" のp40の図14、や、"Maglev - Hightech for Flying on the Ground (動画)" の1分29秒からを参照のこと)

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 レールにスロットがあるので、発電コイルの部分で磁石の強さ(磁束)が変化します。磁束が変化するので発電コイルに電気が起きます。鉄のレールを使っているから、浮上する隙間が1㎝と少ないから可能だったのだと思います。時速100㎞であれば、車上の電源はまかなえるようです。停車時と引き込み線では接触給電、車体にバッテリーも積んでいます。超電導を採用しなかったので、比較的容易に実現できたのだと思います。