更新:2020/10/30
飯田市、佐藤市長の初会見
28日、新たに飯田市長になった佐藤健氏が初登庁し、はじめての定例会見をしました。
『信毎』3面 "移転住民との対話 来月中に 飯田市長、リニア整備巡り" は:
佐藤市長は会見で「リニア事業による移転や地域のコミュニティーに大きな影響を与えることについて、市として改めて正式にお願いする。それに対し、住民がどのような気持ちでいるかを聞きたい」と説明。「住民の中には『市長からちゃんとお願いされたことがない』という認識の人も大勢いる」とも述べた。集会形式で意見を聞くことを想定している。
航空機産業の新興について、「勇気を持って立ち止まることも必要」
と語ったそうです。リニアについても同じ覚悟がいると思います。
『中日』14面 "16年ぶり 飯田の新リーダー始動 佐藤市長が初登庁 職員に「対話と現場主義」訓示"は:
移転者や地域住民との集会について「少なくとも11月中」の開催をめどに調整していると明らかにし、「市長からちゃんとお願いされたことがないと認識している市民も多い。あらためて市長という立場でお願いし、それに対する住民の気持ちを伺いたい」と述べた
このページの文脈と関係ないですが、自分の覚えのためです。『中日』14面 "関係者から期待の声 リニアやコロナ対策" に、原勉・商工会議所会頭のコメント:
新型コロナウイルス対策と経済再生の両立で前市政と協力してきた経緯を踏まえ「これまで第5弾まで予算を打っており、基本的には事業継承をしてくれると思う。その上で国の補助金をただ配るだけでなく、地域経済をどう立て直すか注力して」と求めた
『南信州』2面 "移転者との対話「来月にも」 定例会見で佐藤市長"は:
移転を迫られる市民への対応について、佐藤市長は直接話を聞く場を設けたい意向で「日程調整している。来月にも開催できれば」とした。
選挙戦を通じ、佐藤市長は政治姿勢の対話と現場主義を強調し「移転をお願いする人ともう一度膝を突き合わせ、『やむを得ない』と言ってもらえるまで話をする」と約束していた
さて、『信毎』と『中日』は、28日の佐藤市長のコメントをのせているようです。しかし『南信州』は、対話の機会を11月中にしたいということ以外には、選挙中の発言をのせているだけです。28日の佐藤さんの話した肝心の部分をのせていないように思います。
飯田のリニア駅は、北条の今の位置に決まるまえは、高森町東南部でした。JR東海は2013年8月にそう発表していました。それが約2年のあいだに、北条に変更になりました。JR東海ははじめから北条に決まっていたといいますが、飯田市や南信州広域連合の力が働いていたことは明らかで、そう考えている人は多いと思います。長野県以外の地域で方法書段階で公表された路線のセンターラインから実際のルートがずれたところがあったでしょうか。
だから、移転対象の住民の中には、ルートが決まる過程でなにも相談がなかったではないかという気持ちを持たれている方が少なからずいます。なかには、なにも相談せずにことが進んできた状況から、移転対象になったことについて戦前の「召集令状」と同じようだといった方もいます。だから、こういう国策的な事業は戦争と同じようなものだとも。
今、静岡では南アルプストンネル工事が県民の反発で着工できずにいます。先行きは、JR東海にとって、お先真っ暗。例えば、リニアが中止でなくても、ルート変更でも、長野県内の路線の位置はかなり変化するはず。長野県内でも山の神の怒りにふれて南アルプストンネルの工事は2つの斜坑で工事が中断、残る一つもほとんど進まなくなっています。
そもそも、リニアは技術的に合理性がない、建設目的にも合理性がない、JR東海のまかないにとっても合理性がない、環境を破壊する、地域を破壊する、のに決まってしまった決定までの手続きに疑問が残る。つまり、理に叶わず、法に叶わず、情に叶わず。
佐藤さんは、そのあたりも十分に理解した上で、移転対象者や関係地域と向き合わなければならないと思います。場合によっては寝た子を起こすようなことになる場合もあるでしょうが、市民に向き合った市政にカジを取り直すには必要だと思います。
新聞の記事などで、いっている移転者は、駅周辺やアクセス道路関係だけでなく、飯田市自身が土地を分譲した住宅団地の住民がいることも忘れるべきでないと思います。