更新:2021/08/13

南アトンネル・山梨工区の工事完了はいつになる?

南アルプストンネル山梨工区の掘削のペースは?」の続編です。

 南アルプストンネルの山梨工区は、南アルプストンネルの、長野工区や静岡工区に比べて工事のペースが速い印象があります。

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青が掘削した部分。赤がこれから掘削する部分。数字の単位はメートル。

早川斜坑

 早川斜坑口から掘り進んできた先進坑の広河原斜坑との接続部までの残りの距離は、1264m。先進坑の掘削のペースは、実績として1か月あたり約41mですからこのペースで掘るとすれば、残り1264mを掘るのに約31か月(30.8か月)かかります。2021年5月上旬を起点とすれば、この部分は、約2年7か月(2.56年)かかるので、終了は2024年末くらい。

 早川斜坑と本坑接続部から品川方面の坑口(早川橋梁との接続部)までは、2661m。こちらは、約65か月(64.9か月)かかるはずです。2021年5月上旬を起点とすれば、2027年の10月頃までかかるでしょう。こちらの掘削を、静岡方面への掘削を終えて、2025年から取り掛かるとすれば、終了は2030年半ば以後になるはず。

広河原斜坑

 広河原斜坑と本坑の接続部から静岡工区までの距離は 1875m。さらに静岡工区の千石斜坑との接続部までが2900m。それぞれ、約46か月(45.7か月)、約71か月(70.7か月)かかると予測できます。合わせて約116か月半程度(116.5か月)。JR東海は、広河原斜坑と本坑の接続部まで2022年5月上旬までに掘るといっています。2022年5月から先進坑の掘削を始めたとして9年と8か月(9.7年)。トンネルの掘削の完了は2032年以降になる可能性があります。さらにガイドウェイの設置と試運転に2年が必要(JR東海)なので2034年以降の開業になると思います。

 不正とか違法とかの問題は別にしても、早川斜坑は、認可前の2009年頃から事実上は斜坑の掘削を始めていたので、そこを起点に考えるなら、すでに12年も工事をしていることになります。

 結局、山梨工区も2027年の開業にはとても間に合わない。

「非常口」 ≠ 「斜坑口」

 ところで、JR東海は「非常口」というコトバを使い、マスコミも「非常口」というコトバをそのまま使っています。しかし、普通は「斜坑口」とか「作業用トンネル坑口」とかいうのではないかと思います。当サイトでは基本的に「斜坑口」を使っています。

 例えば保安林指定の解除申請などで、鉄道施設としての『非常口』であるといわないと、手続き上問題があるのかも知れませんが、トンネル工事と捉えるなら『斜坑口』というしかないし、その方が間違いがないと思います。明らかに残土処分場なのに、豊丘村の本山(ジンガ洞)については「鉄道用地」として保安林の指定が解除されています。

 また、長野工区の3つの斜坑口は、最初は2つだけが工事終了後に「非常口」になるという話だったと思います。今はどうなっているのかなと思いますが、そういう場合もあるので、工事中は「斜坑口」という方が良いのではないかと思います。