更新:2021/12/04

ストップ・リニア!訴訟第21回口頭弁論、12月2日

 ストップ・リニア!訴訟第21回口頭弁論が12月2日にありました。裁判後の報告集会で地域の状況を報告するようにといわれたので、上京しました。2020年の3月7日以来です。1年8カ月ぶり。

 弁論の様子については、原告団から報告があると思います。長野の地域の報告は、以下のとおり。

 長野県でリニアの通過するのは伊那谷と木曽谷の南部の地域になります。リニアの工事は進んでいるような印象を与えるニュースも流されているのですが、工事の各段階の開始は1年半~3年程度遅れているし、例えば南アルプストンネルの掘削のペースはJR東海の当初の予想の三分の二程度です。難航が予想されたとおり、すでに4回、3か月間ほぼ掘削が停滞することがあり、昨年は現場に至る道路の地滑り被害などで半年工事が中断したこともありました。県内の工事状況からは開業は2034年以後になるのは確実です。さらに、静岡県の問題があるのに、市町村長たちは、JR東海は他地域の工事のペースは緩めないといっているから、リニア関連事業は予定どうり進めるといまだにいっています。

 そんな中、8月下旬に行われた世論調査によれば、リニアに期待するが約3割、一方期待しないが約7割でした。昨年秋から中間駅周辺の住民と大鹿村のリニアに反対する住民の交流会が大規模な残土処分場ができる豊丘村の住民なども含め繰り返し行われています。当地域でも約60~80mの地下をシールド工法で工事をするトンネル区間があり、住民の間に不安が生じ始めています。

 「飯田リニアを考える会」は8月に地域連合の連合長も兼任する飯田市長に対して「リニア計画に関連して要望書」を提出しました。『中日新聞』が取り上げてくれました。お手元の資料の一番最後の1枚です。今のところ反応はありませんが、リニア計画の頓挫も視野に入れるべきこと、市内の残土置場の中止、静岡の着工まで当面は用地交渉の中止などを求めています。要望の背景の説明はやや長文ですがぜひお読み下さい。

 長野県内のリニア計画や工事の進み具合、市町村別の状況、残土処分の状況などは、お手元の資料にまとめました。残土についてはJR東海は9割の処分先の見込みがあるといっていますが、確実なところは三分の一程度です。造成が済んでいないガイドウェイ組立ヤードに、夏ごろから部品が野積みされており、土木工事と工場生産との歩調がずれ始めたのかなと思います。

 4時間かけて来たけれど(※)、やっぱりリニアは必要、などという不謹慎なジョークもいったりしましたが、東京に結びついていたい一握りの人たちにとっては必要なんだろうと思います。彼らは実は少数派だから、「夢のリニア」と騒いで仲間を増やそうとしてきた。それが「陸の孤島」だとか「伊那谷住民の悲願」だとか「千載一隅のチャンス」だとか「リニア時代を見据えて」なんていうキャッチフレーズ。それでも、リニアに期待する人は約3割、逆に期待しない人が6割。

※ 中央線、新幹線利用の乗車時間3時間の岐阜の中津川より時間がかかりますが、料金は約3分の一。

 高速バスで新宿バスタまで約4時間。その先は新宿三丁目から地下鉄丸ノ内線で霞ケ関まで。新宿バスタ付近では、コロナ禍の影響なのでしょう、前回はほとんどみなかった、おそらく住むところをなくしたと思われる人たちが多数いました。東京は大変なところだと思いますね。リニアどころじゃないと思います。

 前からそうなんですが、東京地裁は警備が厳重。国民の立場にたった、人権尊重の裁判が行われることが少ない以上当たり前ですね。手荷物検査や金属探知機の身体検査も行われます。100円ショップで買ったような安いベルトのバックルは必ず反応します。携帯とかの電子機器もエックス線をあてるんですが、微細な電子回路に影響はないんでしょうか。

 裁判の報告会は、リニア問題に理解のある、国会議員さんが衆参の議員会館に会場を手配してくれます。今回は社民党の福島みずほさん。議員会館も地裁程ではないですが警備がありました。前は衆議院議員会館でしたが、入館証が必要なこと以外、手荷物検査や金属検知器の検査はなかったです。今回の参院議員会館は東京地裁と同じ検査をしていました。ただ、金属探知は、ベルトのバックルが地裁のほうは鳴りましたが参院のほうは鳴らなかったですね。それから、例えば、敷地内で、あるいは窓から、お上りさんですから、国会議事堂なんかを撮影すると、警備員から撮影禁止と注意を受けます。では、いまここで画像を削除しますかと言うとそれはしなくて良いという。なんか変な規則です。

 国会議事堂や、最高裁、中央官庁の集中する地域の警備が厳重なのは当たり前のように思われがちだと思いますが、本当に民主主義的な決定過程がきちんといきわたっているなら、国民はそういう場所を大切な場所として尊重し敬意を払うので、警備は不要なはず。「モリカケ・桜」みたいなことを平気でやる独裁政権が続いている、犯罪者たちが要職に居座るような体制では、物理的な警備体制が必要と思いました。

 宮下一郎さんみたいな自民党議員の紹介で国会見学するのとは違って、われわれは、リニアについて国交省の決定について「たてつくやから」という立場ではあるわけです。その手のやからが暴力に訴えても仕方ないような決定を政府や官庁がやっているという自覚はあるのでしょう。国の中枢地域にまでわざわざ乗り込んで来るんですからね。