更新:2023/03/17
風越山トンネルの工事説明会
3月6日ころだと思いますが、リニア中央新幹線の風越山トンネルの掘削が予定されている飯田市上郷黒田地区の各戸にJR東海から「風越山トンネル(上郷)本線トンネルに係る説明会のご案内」という文書が郵送されました。
書面では、JR東海の長野工事事務所と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、運輸機構)の飯田鉄道建設所の名前になっています。工事をするのは運輸機構。運輸機構は、数年前に、調査ボーリングで、長崎本線の長崎トンネルに穴を開けた実績のある組織です。長崎トンネルは運輸機構の前身の鉄建公団が建設したのですが、どこにトンネルを掘ったのか忘れてしまったらしいです。そんな、組織が住宅地の直下に、外環道で陥没事故を起こしたのと同じような、シールド工法で、シールド工法として未知の領域の深さと大きな直径で、まだ十分に固まっていない地質の黒田地区で工事をやろうとしているのです。
上郷黒田地区は、さらに、4つの地域にわかれており、会場は4カ所で以下の日程で行われる予定になっています。どの会場も午後7時から。
- 3月16日:「上黒田地区」の住民、上黒田集落センター
- 3月17日:「上郷地区」の住民、上郷公民館
- 3月22日:「下黒田北」の住民、下黒田研修センター
- 4月11日:「下黒田東」の住民、下黒田東消防センター
- 「下黒田南地区にお住いの皆さまは、3月17日の説明会に…」
この中で、「下黒田東」はトンネルの一番東のほうにあたる部分で、坑口付近で新戸川の谷の西側の斜面からトンネルの位置までの距離が短いので、斜面が崩落するのではないかと心配する人もいます。斜面の上には人家があります。
かいまみえる非常識
3月17日の上郷公民館は、「上郷地区にお住いの皆さまを対象に…」というのですが、日付ごとの会場とは別に「下黒田南地区にお住いの皆さまは、3月17日の説明会に…」と書いてあります。「上郷地区」は、黒田地区のほかに、駅の出来る飯沼地区や一番西のほうに別府地区がありますが、宛名が「黒田地区にお住いの皆さまへ」となっているのに「上郷地区」全体の人が参加してい良いという意味にになってしまうと思います。本来なら、3月17日は「下黒田南地区」対象で「他の期日に参加できない方は17日に参加してください」とすべきだったんじゃないかと思います。この通知は「黒田地区」だけに郵送されたはずですから。「下黒田南地区」はあんまり関係ないよといってるようなもんですね。(たしかに、数学的な集合の問題としてマチガイはないかも知れないけれど、世間の常識としてハズレテいるよという意味です)
3月11日に「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」が開いた "東京・調布陥没事故から考える 「リニアトンネル問題」講演会" では、集まった参加者に、これらの説明会にぜひ参加するよう呼び掛けがありました。
「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」は、大深度地下法の適用を受けて工事を行っている東京、神奈川、愛知と同じように、工事の前に、地上部分の住居などの建物の家屋調査を行うことなどを、JR東海に要求をしています。
また、工事の前に、地上の土地所有者の個々に工事の承諾を得るよう求めています。民法の規定によれば、地下であっても工事をするには土地の所有者の承諾が必要なのですが、JR東海は、工事をする地区の説明会開いて工事に入るということ以上のことを説明したことはないし、JR東海に個々の所有者の承諾を取るのかどうかという質問に、個別に承諾を取らない場合は違法(刑法の不動産侵奪罪)であると指摘しても、まったく答えていません。
昨年の秋の時点でも、地元の自治会の役員からも、認可後約10年たつのに誰の家の地下を通るのか住民は知っていないという批判が出ていました。
どこまでつづく ぬかるみか
さて、この風越山トンネル。運輸機構だした発注予想では工事期間は80カ月でした。ところが契約の時点では工事期間は65カ月と短縮されています。現在、本坑口付近の住宅の撤去は一部をのぞいて終わっていますが、ルートと交差干渉する農業用水路のバイパス工事についての協議が進んでおらず、まだ2年以上かかると思われます。仮に、今年着工できたとして、80カ月という工期であれば、約6年半で完成は2029年から2030年ころ、65カ月としても、約5年半なので、2028年から2029年にトンネルが完成し、その後ガイドウェイの設置や電気工事や試運転に2年必要とすれば、いずれにしても、開業できるのは、2030年から2032年ころになり、2027年開業なんて到底むりだし、農業用水路の協議が2年遅れたら、その分さらに先送りになるわけです。
そして、40~50mを超える深さの地下を、直径14mというよな大口径で掘削するようなシールド工法は、どこでも同じように工事ができるといった技術的の確実性が実証されていない未知の領域にあるといわれていおり、都市部では現実に、とてもスムースに工事が進んでいるなどといえる状況でなく、最初から転んでいるといった状況。工期が延びればお金もかかるわけで、JR東海さんの体力がどこまで持つのか。