更新:2023/03/30
ストップ・リニア!訴訟の控訴審の第3回口頭弁論
東京地裁、高裁の入ったビルの最寄り駅、地下鉄丸の内線の「霞ケ関駅」構内にリニアの大阪早期延伸を訴えるポスター。
28日、東京高裁でストップ・リニア!訴訟の控訴審の第3回口頭弁論がありした。3人の判事のうち2名が変わったこともあり、審理の内容は、書類の不備の突合せや、進行協議の期日をいつにするかなど、事務的な内容で、意見陳述などはありませんでした。
地裁前集会。年度末だったし、意見陳述の予定もなかったので、参集した人は少なかったです。
裁判のあと衆議院第1会館内で行われた報告集会では、日大名教授の桜井徹さんの、「リニア中央新幹線とJR東海の経営問題」という題の講演がありました。
桜井さんは、「(1)リニア中央新幹線は、JR東海の性格と関連して、経営基盤確保と海外技術輸出という二つの企業目的を有していた、(2)二つの企業目的は、国策と結びつき、国策を利用していた、(3)海外技術輸出の実現可能性は極めて低く、(4)経営基盤は確保は、一方における工事費の増加と他方に置けるコロナ禍での収入減による経営悪化のゆえに、国策民営の矛盾に陥り、逆に経営基盤を危うくしかねない状況もうまれ、公的資金投入の可能性も生じている、(5)もちろん、経営悪化は急速に回復しつつあるが、経営リスクは今後も継続することは確かである。」と話されましたが、「資本」というもののあり方として、JR東海が自ら計画を止めるとは言いださないだろう、反対運動が働きかけるとするなら株主にとの指摘もありました。
なお、アメリカのワシントン・ボルチモア間のリニア計画は、アセスメントの最終報告書の作成が中断され1年半もたっているし、バイデン政権のアムトラックの近代化の路線もあり非常に困難な状況にあるとのことでした。
講演の内容については、『日本の科学者』2022年11月号の「コロナウイルス禍によるJR東海の経営悪化とリニア中央新幹線建設工事費の財源 ~ 『国策民営』の矛盾の露呈」、『週刊金曜日』2023年2月3日号の「財源はどうなる コロナ禍が露呈させた『国策民営』の矛盾」とほぼ重なるものです。
JR東海の経営状況とリニア計画の関連については、『日経』1月8日6面に "Views 先読み:鉄道各社、相次ぎ値上げへ 経営戦略の転換が急務" という記事で、「リニアは東海道新幹線との客の奪い合いも避けられず、収益の改善は見込み難い。計画見直しの議論が広がるのは時間の問題だ。」と書いていますが、桜井さんは、『日経』1月6日の "JRに迫る「脱・鉄道」 戦略見直し、23年に前倒しも編集委員 安西巧(有料記事、紙面になかったと思う)" という記事を紹介されました。似た内容ですが、8日紙面より詳しい記事で、「従来型の鉄道事業における巨額投資へのリスクは一段と高まる。…今後リニアの工事が進むとともに、計画の遅れなどで工費がさらに膨らめば、財務の負担が増すだけではない。東京ー名古屋間が開業にこぎ着けても、東海道新幹線との客の奪い合いとなることは避けられず、企業全体の収益の改善は見込み難い。…発足から36年。JR旅客6社体制がはらむ矛盾や軋(きし)みは、もはや看過できない時期に来ている。」としています。
なお、 『赤旗』が29日15面で "JR経営に悪影響も リニア訴訟控訴審の報告会" という記事をのせています。。
「全力の失敗ができたなら、成功なんて飛び超える。」JR東海のリニア建設部の皆さんがこういう気持ちでやってるとしたら…。でも、他人に迷惑かけるなよ。
東京へは高速バスで行ったのですが、行きがけ、山梨県内の境川パーキングエリアそばの、リニア実験線の残土の谷埋め盛土が見えました。盛土の上にはリニアのガイドウェイの製作・保管ヤードがあります(参考:笛吹市のガイドウェイ組立・保管ヤード)。
東京方面へ向かって右側に、最初に見える盛り土。
東京方面へ向かって右側にPAを過ぎてから、見える盛り土。