更新：2023/08/17

アメリカのリニア計画はどうなっているか？(2)
アムトラックのトップが反対

リニア中央新幹線は…建設自体がトンネルから抜け出せずにお先真っ暗になってしまっている

　アメリカのリニア計画のあるワシントンDCとボルチモアの間の交通事情について、共同通信社ワシントン支局次長・大塚圭一郎さんが紹介しています。『Risvel(リスヴェル)』というサイトの連載です。

　アメリカのリニア計画の可能性について直接書いているのは第11回と第12回。

　「最高時速５００キロで走る「夢の超特急」の実現の可能性はどこまであるのだろうか。また、米国で凶悪犯罪発生率４位のボルティモアと結ぶことによる経済効果はどこまで見込めるのだろうか。」(第11回)詳細は記事を読んでいただくとして、「こうして検証すると必要性に疑問が生じ、１兆円を超える投資に見合うだけの経済効果が見られないのがワシントン―ボルティモアのリニア構想だ。」(同)といっています。

　第12回では、関係筋は「『もっと大きな狙いが秘められている』と“隠し球”を打ち明けた」と書かれています。しかし、その内容は将来、ニューヨークまでつながればすごい経済効果があるというもので、秘められている狙いとか「隠し球」とういう程のものではないといいたいようです。

　さらに、アムトラックのトップがリニア計画に反対していると紹介しています。

　また、日本のリニア計画そのものが上手くいっていないと：

本来ならば超電導リニア構想の手本となるべき日本の東京・品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線が暗礁に乗り上げている…

リニア中央新幹線は東京・品川―名古屋間の２８５・６キロのうち８６％がトンネル区間を占めるが、建設自体がトンネルから抜け出せずにお先真っ暗になってしまっている(*)のは皮肉だ。米国の首都ワシントンと主要都市ニューヨークをつなぐ米国版リニア中央新幹線の実現を夢見て、まずはワシントン―ボルティモア間を建設する壮大な構想も夢物語で終わりかねない。

* 座布団1枚

　大塚さんは、日本のリニアが上手くいっていない理由として静岡の問題をあげていますが、こちらで触れたように、アメリカの計画については、川勝さんや静岡県と同じような立場の人や自治体で複数が建設や計画についての検討をやめろといっているわけで、大きな問題点を指摘しているのが静岡県だけということの方が異常なんだろうと思います。

　実際には、JR東海の計画そのものが杜撰過ぎて、その結果として、アセスメントも不十分だったことが、工事の遅れの原因です。11年の工期の関東車両基地の工事が全く始まっていないこと、7年かかる小渋川橋りょうの工事契約がいまだに結ばれていないなど、また、工事が行われている南アトンネルについても工事のペースの実績から推定すれば2027年の開業は無理だし、都市部のトンネルはやっと掘削が始まった段階なんですがなかなか思い通りに進んでいるわけじゃないし、長野県内の風越山トンネルは工期が5年5カ月なのに工事は始まっていないなどなど。

EOF

アメリカのリニア計画はどうなっているか？(2)アムトラックのトップが反対

アメリカのリニア計画はどうなっているか？(2)
アムトラックのトップが反対