更新:2024/01/25

南アルプストンネル工事はあと3年で終わる

南アルプストンネル工事はあと3年で終わる

 最近、聞いた話。

 その1。南アルプストンネルの大鹿村内の工事はあと3年で終わるというウワサ。だから、現在、作業員の消費をあてにしている事業者はあと3年しか持たないという。誰がそんなこといってるんですかと聞いても、発信元はよくわからない。

 事実は、JR東海はあと3年でトンネル工事を完了したいと思っているけれど、現在、3地点で難しい箇所を掘削しているし、掘削できていない区間もけっこうある、小渋川橋梁についてはまだ発注もできていない状況で、迷惑な工事をいつまでに終えれるのか説明せよとの住民の声はあるけれど、現状ではそれを説明できる時期がいつになるかさえも言えないというのが現状だというのがJR東海の説明。

 そういう説明があった12月22日の大鹿村リニア連絡協議会の記録が大鹿村のHPに最近掲載されました。これらのやり取りは質疑応答のなかで出てきたことなんですが、今回は質疑応答概要が出ていませんね。

(2024/02/05 訂正) 12月22日の連絡協議会の質疑応答の概要が掲載されました。⇒ 第30回 大鹿村リニア連絡協議会質疑応答概要

交換条件の残土置場

 その2。松川町の福与区の低地の水田の嵩上げ事業にトンネル残土20万㎥を使う計画は、福与区の上流にあたる生東区中山の30万㎥の残土処分地を候補から取り下げるための交換条件という話。これも誰がそんなこといってるんですかと聞くと、だれだれが言っているというだけの話。

 ただし、この「交換条件」というコトバは聞き捨てならないものだと思います。

 中山の候補地については、地元の自治会が候補を取り下げたのですが、最近になって、地権者の要望があるといって松川町が再検討をするといいだしたもの。

 福与の嵩上げ事業は誰がいいだしたのか、特に気にしてもいませんでした。しかし、いったい誰がいいだしたことなんでしょうか? 「交換条件」というコトバが出ているとすれば、アイデアを出したのが松川町である可能性は低い。中山の候補地を再度持ち出すわけにはいかないはずですから。

 長野県とかJR東海が言いだした可能性はかなり高いと思います。

 長野県は、これまで市町村とJR東海の間で、残土処分地については、土砂災害の危険地区の指定について黙っていたなど、ほとんど常にJR東海の側にたってきているわけで、長野県やJR東海がアイデアをだした可能性が非常に高いと思います。

 地元の福与区が、率先していいだした可能性は低いと思います。

 さて、嵩上げ事業は誰がいいだしたのでしょうか。

 きちんとした文書が残っているでしょうか。

 一方、別の場所で、こんな話を聞きました。

 工事関連で交渉に来る職員の説明と、説明と同じ内容のはずの文書に食い違いがある、これでは話を進めるわけにはいかないという。

 さて「交換条件」という受け取り方の真相は? 責任ある立場の方が確たる証拠もなしに簡単に口にすべきコトバじゃないと思いますね。

トランスラピッドは永久磁石

 フェースブックの「リニアを考えようコミュニティ」(以下、FB)に9年前の投稿が再掲載されていました。

https://www.facebook.com/groups/293806259438484/posts/774937781325327/

 『全国商工新聞』の2015年1月12日掲載の「視点:動き出すリニア新幹線 電力浪費して安全性に不安 自然破壊して採算も度外視」という記事を取り上げています。記事の執筆は理学博士。

 もともとはこちらですね。

 さて、「ドイツは強力な永久磁石を積載したリニアを推進していましたが、…2008年には企業体も撤退しました」という部分。ドイツのトランスラピッドは電磁石をエレクトロニクスで制御して鉄のレールとの間の吸引力で浮上する方式であって、永久磁石は使っていないし、企業は撤退したけれど、世界初の高速の磁気浮上式鉄道の実用路線を上海で実現させているわけです。事実認識がおかしいです。

 浮上の仕組みのカギとなる技術として、エレクトロニクスなのか超電導技術なのかということは、信頼性や安全性や実現可能性の面で重要な問題で、エレクトロニクス(常電導)を選択したドイツや日航の技術者たちの技術的なセンスが国鉄~JR東海の技術者のセンスより優れていたことを示していると思います。

 で、ドイツが自国内で敷設を止めたのはコストに見合う需要がないという点。浮上式鉄道(リニア)なら常電導でも超電導もダメ、だからJRリニアもダメじゃ理屈にならないでしょうね。

 エアギャップの大きさが効率の悪さにつながるのは事実ですが、90%と2%の効率の違いが、どれだけの電力消費の差になるのか説明がない。言い換えると、リニアは新幹線の3.5倍程度の電力消費としていますが、効率が50倍近く違うのに、電力消費としては3.5倍に抑えているリニアは優れた技術と言えませんか?

 物理学者の説明として期待外れなのもと思います。

矛盾する藻谷浩介氏の言動

 FBで藻谷浩介さんの言動が話題になっていました。

https://www.facebook.com/groups/293806259438484/posts/775050421314063/

 新幹線やリニアに期待する地域にいって講演する時には、新幹線やリニアが早くできるとよいというのは、じつは、そういうものが来たところで地域が活性化することはなく、新幹線やリニアにまかせきりの施策しか考えれない地方の指導者たちの無能が分かるからだと、藻谷さんが話すのを聞いたことがあったような記憶があります。

 補足すると。藻谷氏の講演を私が聞いたのは、いずれも飯田下伊那で、2016年9月(龍江公民館)、2018年3月24日(阿智村公民館)、25日(勤労者福祉C)の3回。話の内容は、リニアを見据えて…というのとは、関係ない地域問題の解決に関連した話でした。で最後の会で、参加者からの質問に答えて、当時のメモによれば:「各地で新幹線が早くできた方が良いと言っているそうです。リニアについてもそうなのですが。こころは、交通の便が良く成れば地域が活性するといっている人たちが、現在地域活性化ができないことの言い訳が出来なくなるようにということだそうです。(3月25日)」ということです。龍江公民館では、リニアの速達性は非常に優れているので大いに期待できると最後のほうで唐突に話されたので、その前のほうの話と矛盾すると思いました。

http://www.nbbk.sakura.ne.jp/npp/201609/160902.html

 講演内容のほとんどの部分はリニアが来ればよくなるという考え方とはあいいれないものと理解できたなら、最後にとって付けたようなリニア期待論との矛盾があるとすれば、それは、聞く側が自分で考えるべきということでしょう。藻谷氏は講演の主な部分ではデータに基づいて自分で考えなくてはと主張していたと思います。公が主催するような講演会などでは、いろいろな問題をストレートに語ることが難しい状況があるんですから、受け手の側が考えないと、と思いますね。

目標でなかった「2027年開業」

 1月18日の会見でJR東海の丹羽社長が静岡以外でも工程が厳しく工事全体の進め方を再検討していると発言したニュースについて。

https://www.facebook.com/groups/293806259438484/posts/781448260674279/

 2027年に開業できると初めから思っていたわけじゃないことは、静岡以外の工事の進ちょくを見ればあきらか。南アルプストンネルなんかは長野工区で掘削が始まった時点で2027年に開業はできないという見方はかなりあったはず。2017年に掘削が始まったすぐのころ、たまたま行き会ったトンネル工事の技術者が10年あれば掘れるというので、えっというと、開業はいつでしたかね、なんていって笑ってましたからね。いつまでもズルズルとやり続ける公共事業の化けの皮がはがれ始めたというところじゃないかと思いますね。民間の鉄道会社だったら本来できることじゃないですね。

高温超電導技術って完成できたのか

 高温超電導技術って完成できたのかという問題。

https://www.facebook.com/groups/293806259438484/posts/779389857546786/

 スレッド最初の投稿者は、「昨年3月に国交省の委員会で、完成目途が3年先送りされていた記憶がある」といっています。

 次のコメントがついています。

 「今の改良型のリニア車両は、これを使っています。高温と言っても-269℃以下が-255℃になるくらいです。液体ヘリウムを使わなくていいというところにメリットがある様です。常温超伝導は、まだ世界中どこでも成功してないみたいです」

 「今の改良型のリニア車両は、これを使っています。」と書いていますが「これ」とは高温超電導磁石なのでしょう。メリットがあるなんて書いていますから。だとすれば、2005年に試験走行したということがあったにしても、山梨リニア見学センターのHPの歴史年表にありますね、それは、編成中の1つの台車のみで試験走行したはず。しかし、その後、編成全部の車両の全部の台車に高温超電導磁石を搭載して走行試験をしたというニュース、これは非常に大きなニュースのはずですが、聞いたことがありません。技術本部長も、数年まえのテレビ番組で営業線でもニオブチタン合金の超電導磁石を使うといっていますね。「これ」が、高温超伝導磁石だとすれば、すごく画期的な話なんですから、その情報のソースが示されてもよいのに、それがない。

 念のために。たとえ、高温超伝導技術が完成したとしても「超電導磁石」を使うことが原因の欠点はどうにもなりませんね。

 オリジナルのアイデアはアメリカですが、1970年頃、フォード自動車とかMITとかスタンフォード大学が研究したけれど開発はしなかった。ドイツでも70年代にシーメンスなどが研究したけれど開発はしなかった(常電導を選択)。日本航空も選択しなかった(常電導を選んだ)。たぶん、4~50年前に「ダメ」という結論が出ていたのに、ずっと開発を続けて来たのが国鉄、そしてJR東海と鉄道総研なんだと思います。

部分開業

"https://www.facebook.com/groups/293806259438484/posts/784658930353212/

 部分開業という主張について理解できないという方がいますが、全く新しい走行方式(システム)なんですから、短い区間で部分開業して社会的なお試しをしてみるというのは良いアイデアだと思います。新聞購読みたいなわかりきったことだって1カ月無料なんてことやりますね。中国も結果的にみればトランスラピッド方式をお試しで上海空港から上海市郊外までの約30㎞に建設してはみたけれど、どうも良くないねということで、それ以上には延伸しなかった。超電導リニアの場合も同じで、部分開業をすれば、こりゃ駄目だということがはっきりするはずで、部分開業に否定的な考え方というのは、総合的にみてトランスラピッド方式より劣る超電導リニアですからね、いろいろと問題点があることが分かっているんでしょう。特にJR東海はそうでしょうね。

川勝知事の発言は「誤解を与える」

 1月24日、JR東海の沢田常務と木村専務が異例の記者会見 を開き川勝知事を批判したようです。

『静岡朝日テレビニュース』 "【リニア新幹線工事】JR東海が異例の記者説明会を開いた理由は…現場の井川に行ってみた"

『静岡新聞』 "開業目標発言「事実誤認」 JR会見、川勝知事に苦言 リニア事業巡り"

 話の内容はともかくとして、沢田常務の喋り方って、どうなんでしょうかね。

 ヤードの工事について。川勝さんは現場に行く道路の県道トンネルができていないのでヤード整備は難しいんじゃないのといい、つまり物理的に困難でしょという意味。JR東海は、川勝さんが許可しないからできないという。災害のためとかいっていますが、許可を得られないとすれば、無駄になるからトンネル工事の着工をぐずぐずやっていた、とすれば、結局、リニアの工事全体について見通しがないということじゃないかと思います。

 沢田さんの口調は大人の喋り方になっていない。子供が、ぐざっているだけのように見えますね。

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