更新:2024/05/21

半の沢の残土処分工事の労災事故で作業員が重傷

 5月16日、半の沢の谷埋め盛り土工事で重機が横転して作業員が腰椎圧迫骨折などで全治3カ月の重傷を負いました。

 下の写真の左は半の沢の盛り土工事(中川村)、右は事故のあった残土仮置き場(松川町生田)。あいだを流れる小渋川が町村境。

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 次の写真は1年前のようすです。上と比べると右の仮置き場の残土を崩しているのがわかります。

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 リニアの残土運搬のために県道松川インター大鹿線(小渋線)の改良工事の一環として2つのトンネル工事(西下トンネル、東山トンネル[工事中仮称:四徳渡トンネル])が行われ、その残土は半の沢(中川村)の対岸(松川町生田)に約20万㎥が仮置きされていました。仮置きされた残土は大鹿村から出てくるリニアのトンネル工事の残土33万㎥とともに半の沢の埋め立てに使う計画。

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県道トンネル工事の残土仮置き場(松川町生田)

 その残土仮置き場でバックホーが横転して作業員が大けがを負いました。小渋川が町村境なので仮置き場は松川町生田地籍です。

 地元3紙の記事は:

 『信毎』は「松川町生田の盛り土造成工事の現場」と書いていますが、松川町生田の部分では仮置きされていた盛土を崩しているので「造成」じゃないでしょう。「盛り土造成工事の現場」という言葉を真に受けて、低地の嵩上げ工事の計画のある生田の福与と、かって残土処分の候補地だった同じく中山の谷も見てきましたが、もちろん何も工事なんかはじまっていませんでした。

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松川町生田福与

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松川町生田中山

 小渋ダムの東側にある「天竜川ダム統合事務所から西に1.3㎞」と書いてなければ、半の沢の対岸だとすぐには分かりません。おおくの読者は私のように、それらしい場所を見てるくような間抜けなことはしないはずですが、なにかモヤモヤが残るんじゃないかと思います。正確な絵が見えないのです。各紙とも、ほとんど間違ってはいないんですが、わかりやすい書き方じゃないですね。

 蛇足というか…。作業をしていた重機について、『中日』は「バックホー」と「パワーショベル」(警察に通報した通行人のコトバ)の両方を使っています。『南信州』は「パワーショベル」、『信毎』は「バックホー」。作業内容について3紙ともに「整地作業」。「パワーショベル」はバケットが前向き、「バックホー」はバケットが後ろ向き。

 『SBC(信越放送)』は "リニア工事の残土置き場で労災事故・警察は周辺のパトロールで覚知" では、資料写真として「バックホー」のバケット部分の写真が掲載されていますが、本文では「パワーショベルで整地作業をしていた」と書いています。

パワーショベルで整地作業をしていたところ、重機がバランスを崩して倒れました。(SBC)

 これはこれでまた…。

 『ABN(長野朝日放送)』は "リニア残土置き場でパワーショベル運転の男性が重傷"。記事一覧のタイトル右の写真には仮置き盛り土の上に並んだ3台のバックホーと、ころんじゃいませんが、半分盛土に隠れたバックホーが1台見えています。

EoF