更新:2024/05/30
中間駅工事の要対策土使用反対の署名について
「リニアから自然と生活環境を守る 沿線住民の会」が、長野県のリニア中間駅の建設工事に要対策土使う計画に反対する署名を始めました。1 は、紙の署名、2 はネット署名です。そのほかに、地域を歩いて集めています。
この署名活動については、やや誤解を受ける可能性があるかもしれません。以下をお読みいただきたいと思います。
(1) まず第一に、JR東海は説明会で、大鹿村内に置いてほしくないという声があるから、飯田に持って来るのだという説明はしていません。大鹿村のリニア連絡会議の委員からは村内での処分は困るという声が出ていますが、上郷の説明会でJR東海はそれが理由だという説明はしていません。橋脚の基礎部は厚さ1.5mのコンクリートの空洞に詰め物として土砂を入れます。おそらく、1.5mの厚さがあれば、一応は重金属類などが外部へ出ることはないだろうから、ちょうど都合が良いので使うという程度の理由と解釈できるものでした。
(2)大鹿村内での活用は、自社用地の変電所(電力変換所、現在は残土仮置き場)の造成工事と小渋川非常口の対岸の鳶ヶ巣沢の環境対策事業のどちらかか、または、両方かと思われます。どちらも小渋川の川岸で万が一に重金属類が溶けだしたりした場合は、小学校や保育園や人口密集地が直近にあって、深刻な被害が広がる恐れがあります。どちらについても要対策土は使用すべきではないのです。そもそも鳶ヶ巣沢の環境対策事業は河川敷にかけて盛土をするので災害を引き起こす危険性もあります。大鹿で出た残土だから大鹿に置けばよいという考えではありません。一方でリニア駅周辺での活用についても署名の趣旨にあるように問題があり反対の声があります。
(3)どこであれ、要対策土の処分先や受け入れ先で反対の声が出て、住民が持ち込みを拒否するのは当然だろうと思います。では、現在、小渋川非常口そばに仮置きしてある5000㎥の要対策土はどうするのか? 豊丘村坂島の仮置き場の3000㎥の要対策土はどう始末をつけるのか? どこの地域も受け入れは嫌だと言うなら、JR東海や国交省などが、どこにも迷惑のかからない処分方法を考える義務や責任があるはずです。
(4)今後出てくる要対策土の量はわからないとJR東海は説明しています。JR東海にしても国交省にしても、大量の要対策土の処分について、計画段階で検討してこなかっただろうし、住民が嫌がって処分できない問題が将来起きると予想しようともしなかったのだろうと思います。始末仕切れない要対策土の問題があるのにリニアを建設しようとした責任が問われるべきです。
(5)どこへ処分すればよいかという問題は、JR東海と国交省がリニア計画の問題点を認めて計画の中止を決定してからの話だと思います。コストを考えればきちんとした安全な処分はできません。安全に処理・処分する方法をこの事業計画の中で実行出来る可能性はほとんどないはずです。工事が続けば今後処分しなくてはならない要対策土は増えて行きます。原子力発電所にたとえると、全ての原発の廃炉を決定し今後は原子力発電をしないと決定してからでなければ、核ごみ処分場の問題の議論には入るべきでないのと同じです。なお、埋め立てる事による被害や危険性の種類は違っても、要対策土を残土と読み替えても同じことがいえると思います。
(6)処分先・活用先の候補地で反対運動が起きるのは必然です。リニア計画の中止の判断が下されるまで、当面は、それぞれ、自分の地域のことのみ考えて反対をすればよいのです。要対策土処分の全体について、代替案を、考えたり示す必要はないです。
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