更新:2024/07/02

長野県議会のリニア早期開業意見書について

 6月28日に長野県議会は本会議でリニア中央新幹線の早期開業を求める国への意見書案を可決しました。

 『中日』は6月29日、14面 "リニア早期開業を 国への意見書可決 県議会" で「意見書案を可決した」と。『信毎』は29日2面 "「指示権」慎重かつ適切に行使を 県会 議員提案の意見書可決" という記事のなかで「このほかの議員提案の意見書は10件。国に対し、女性差別撤廃条約選択議定書の批准に向けた検討を求める意見書を全会一致で、リニア中央新幹線の一刻も早い開業を求める意見書を賛成多数でそれぞれ可決した」と書いています。

 6月30日の『南信州』は、「県議会6月定例会で28日、リニア中央新幹線の一刻も早い開業の実現を求める意見書案が提出され、全会一致で可決された」(*)と伝えました。

* 『南信州』6月30日、11面 "リニア早期開業を 県議会が意見書提出へ"

 「全会一致」で可決された、という点、あれっと思った方はかなりいたんじゃないかと思います。共産党はリニア計画の中止を求めています。実際に、6月の県議会でも、共産党県議団の山口典久県議は次のような質問をしています。

…工事認可以来2027年開業ありきに固執してきたJR東海や県、関係市町村の姿勢がその強引な手法をもたらし、各地で住民を置き去りにしてきたと考えます。…長野などリニア中央新幹線の沿線10都府県でつくる建設促進期成同盟会は、6月7日に開催した総会で、早期開業を推進することを確認したと報じられておりますが…建設工事は一度立ち止まり、しかるべき検証を行うべきと考えますが、いかがでしょうか

 共産党県議団に確かめてみました。共産党県議団の5人のほかに、改革信州の4人、無所属の1人の合計10人が反対したそうです。なお県議会の人数は全体で56名です。『南信州』の記事は間違っていることは明らかですが、この間違いは、なにか意図的なところがあってのことじゃないだろうと思います。

 だからこそ、問題です。記事を書く、そして校閲までの段階で誰もおかしいと思わなかったことが、心細い話だと思います。リニアをめぐっていろいろな人たちの考え方や行動について、こういう時にはこう動くはず、こう発言するはずというデッサンが頭に入っておれば、こういう間違いはしないはずです。

 『南信州』がリニア推進側にたって報道してきたことは間違いないことなんですが、ひとつひとつの事実について間違ったことを書いたことはほとんどないと思います。その点は、『信毎』や『中日』と大差ないか、そもそも地元の地の利で、むしろより正確な部分もあります。期待しているんで頑張ってください。

EOF