更新:2024/08/03
第一中京圏トンネル・大針工区の事故について
7月30日夕方、多治見の第一中京圏トンネルの大針工区で作業員が大けがをする事故がありました。切羽で掘削面が崩れて、火薬を装填する作業中の作業員に当たったそうです。首や腰、あごなど6カ所を骨折する大けが。
- 『岐阜 MEWS WEB』 "リニアのトンネル工事 掘削面崩れ作業員1人大けが 多治見"
- 『東海テレビ』 "“体より大きな岩”が当たる…リニア工事現場で掘削面が崩れ作業員がケガした事故 全身6カ所の骨折と判明"
- 『中日』8月1日25面 "リニア工事現場で岩落下、作業員重傷 多治見のトンネル"
- 『信毎』8月1日28面 "リニア工事現場 落石 作業員重傷 岐阜・多治見"
8月3日朝の時点で、JR東海はこの事故についてホームページ上では何も発表してないようです。2021年10月27日に起きた中津川市内の瀬戸工区の死亡事故では10月28日にニュースリリース、「中央新幹線瀬戸トンネル新設工事における切羽の肌落ち等について」を掲載しています。
大針工区は2022年7月29日ころから掘削を始めていました。保全計画では斜坑は約1.0㎞、環境調査の2023年度の報告では約900m(約8割)を掘削としているので斜坑の長さは1.13mで、保全計画の数字とは少し違っています。
- 岐阜県 環境保全の計画 の 中央新幹線第一中京圏トンネル新設(大針工区)工事における環境保全について
- 岐阜県 事後調査・モニタリング の 「中央新幹線(東京・名古屋間)環境影響評価書【岐阜県】平成26年8月」に基づく事後調査報告書(令和5年度)
JR東海の工事マップより。2024年8月3日のスクリーンショット。
掘削する断面積は本坑の方が斜坑より大きいことは無視するとしてのはなしです。
事故現場も斜坑内のようなので、ほとんど斜坑は掘削完了直前だったようなので、平均で1カ月あたり最大で約47m程度掘ってきたとして、このペースを維持できたとして、本線部分は約5.0㎞なので、掘削完了までには少なくともあと8年10カ月(2032~33年頃の工事完了)はかかるかも知れません。倍のペース、半分の期間で掘れたとしても2028年以降です。「2027年開業」という目標は、着工前でも、どう考えても無理な計画だと分かっていたのではないかと思います。
沿線の県や市町村にしても、自ら土木工事が必要な公共事業の経験があったはずです。特に県は道路工事やトンネル工事なんかもやるので、JR東海の計画をみて、大雑把過ぎると考えなかったとは思えません。計画の遅れについて、JR東海や静岡県の責任として、自分たちは責任ないみたいなことをいうのは止めた方がよい。
中津川市の瀬戸工区で肌落ちで作業員が死亡した事故のあと何件か坑内事故が続きました。この時は全部のトンネル工事を中断したと記憶してます。対策を練ったはずなんですが。今回の工事中断もそうとう長引くのではと思います。
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